業界展望台

日本の森林を守ろう-林業機械特集

2月24日(木曜日)付 日刊工業新聞 18面-19面 広告特集から

<出稿企業一覧>

企業名   新聞広告
三蓉エンジニアリング 木質廃材の破砕・選別で地球環境に貢献
名南製作所 ベニヤなど各種合板の製造合理化機械の製造・販売
イービジョンエンジニアリング 日本の林業の再活性化こそわが社の使命
IHI建機 日本の林業にジャストフィット、IHIのF801フォワーダ
日立建機 木になるニーズを実らせます
イワフジ工業 ランニングコストに優れシンプルと耐久性を追求したプロセッサ

 日本の国土の7割をも占める森林。国内林業は採算性悪化で衰退傾向が続き、野放しのエリアが増えている。外資が森を買収するニュースが話題になるなど、森林資源が置き去りにされているのが現状だ。しかし日本の森は諸外国と比べ成長量が多く、戦後に行ってきた造林政策で多くの人工林は収穫期を迎えている。世界でも有数の森林資源を生かすため、森林管理を適切に行う仕組みづくりと高効率な林業機械の普及が欠かせないものとなっている。

 

世界でも有数の森林資源

【林業再生で地域経済を元気に】

 10年後の木材自給率50%を目指す-農林水産省林野庁が2009年末に打ち出した「森林・林業再生プラン」はかなり野心的な目標数値だ。現在、国内に供給される木材の7割以上が輸入品となっている。急勾配な山が多い日本では木材を産出するのにコストが高くつき、また流通体制が小規模に分散されているなどさまざまな要因で国産材の使用が縮小しているのが実態だ。1-5ヘクタールの小規模な林業経営体が多くを占め非効率で、また、所有者の世代交代により土地の境界線が分からなくなるなどのことから放置される場所も多い。

 こうした状況を打開したいというのが同プランの骨子。林業再生で過疎化が進む地域経済に雇用を生み出すとともに、森林資源の活用で炭素の貯蔵や化石燃料使用を削減し低炭素社会への貢献を見据える。具体的には森林計画の見直し、林業作業車が走る専用道"路網"の整備、高効率な林業機械の導入促進、林業の担い手育成などが掲げられた。関係者からは「林業復活への最後のチャンス」「かつてないビジネスの機会が到来した」という声も聞かれる。

【日本風土に合わせた林業機械】

 さまざまな課題を抱える日本の林業を再生するポイントの一つが高効率な林業機械の導入促進による間伐や伐採作業の省力化・低コスト化だ。欧州や北米など林業先進国と比べ、日本はまだまだ機械化が必要とされる。路網が未発達で、海外と比較して地盤の柔らかさから大型機械の導入が難しいなどの要因が重なる。

 また四国や南九州では急斜面が多く、北海道では緩傾斜地が多いといった地形の特徴や地域による樹種の違いなど、日本の森は多様性を帯びる。林業機械化協会の内山研史常務理事は「林業機械は狭い林道での操作性、不整地での積載性や走行性能など、日本の森林の特性に合わせる必要がある」と解説する。

 現在、従来のチェーンソーや刈払機などに比べて、作業の効率性や安全性能を著しく向上させた「高性能林業機械」の普及が国内でも進んでいる。高性能林業機械には枝払いや造材を高速に行うプロセッサー、玉切りした材を運ぶフォワーダー、建設用ベースマシンに集材用のウインチを取り付けたタワー付き集材機のスイングヤーダー、伐倒、枝払い、玉切りまで一台ですべてこなすハーベスターなど主に7種がある。

 林野庁ではこれらの機械をさらに普及を図り有効活用できるよう、基盤インフラとなる路網の整備を早急な課題とする。森林・林業再生プランの具体化を図る検討委員会の一つ「路網・作業システム検討委員会」では、緩傾斜地、中傾斜地など傾斜度により区分し、それぞれに必要とされる路網密度の目安や、どのような高効率林業機械を組み合わせればよいのかを示している。

【市場拡大を見据えた動きが活発化】

京都の日吉町森林組合が導入したIHI建機製フォワーダー

山梨の藤原造林が導入した日立建機製ミニショベルをベースにしたハーベスター

林野庁の補助事業により各地で先進的な林業機械の 試験が
行われている (京都の日吉町森林組合が導入した
IHI建機製フォワーダー(上)と、 山梨の藤原造林が
導入した日立建機製ミニショベルをベースにしたハーベスター(下))

 路網の整備には林業機械が使われるうえ、整備されれば高性能林業機械の活躍の場も増える。高性能林業機械の市場シェア6割をもつとみられるイワフジ工業の及川雅之社長も「ここ数年の市場環境は追い風になる」と見る。地域特性に合わせたきめ細かな製品開発やサービス、作業者の安全講習などを強化し「国内専業メーカーならではの特徴を出していく」(及川社長)としている。

 林業機械の市場拡大をにらんだ動きは建設機械メーカーにも増えてきた。建設機械大手の日立建機はここ数年、公共事業全体が縮小する中でも林業向けは堅調に推移。このため林業専用の大型足回りを採用した「林業仕様機」に加え、昨年春に油圧ショベル「ZAXIS135US」をベースに林業向けオプション品を標準装備した「林業パック」を販売開始した。「ハーベスタ・プロセッサ」、「スイングヤーダ」などをラインアップ。運転席の強度を高めるガードなどを装備している。

 また08年からカーボンオフセットを組み合わせた販売活動を開始。機械1台の製造時に使われた二酸化炭素(CO2)排出量分を、クリーン開発メカニズム(CDM)を通じ途上国におけるCO2削減分で相殺する仕組みで、機械の購入者は間接的にCO2削減活動に参加できる。「環境意識の高い顧客に好評」(日立建機)で該当機種は累計160台の販売を達成している。 

 IHIグループのIHI建機も林業機械の販売拡大を見据える。昨年8月には、林業機械専用機の新型フォワーダー「F801」を発売。前輪をホイール、後輪は接地圧の低いクローラーを採用し、日本の山に多い軟弱地盤での走行性能を高めた機種だ。

 走行スピードは時速14キロメートルを確保し、カーブでの曲がりやすさ、回転式運転席による操作性向上、重心を低くした設計による積載時の安定性といった作業現場の要望を組み込んだ。

 林業業界を取りまく環境の変化に対応するため異例の早さで完成させたという。林業機械専門の営業担当者を配置するなど販売体制も強化。現在は、フォワーダー以外の林業機械の開発にも取り組んでおり、今後の展開も注目される。

 林野庁では今年度予算で先進林業機械導入による補助事業を行っており、森林組合など全国で11件の事業体を選定。そこでは先のIHI建機の新型フォワーダーや日立建機のミニショベルをベースにしたハーベスター、ドイツやオーストリア製の先進機械などが使われている。現在、データ収集が行われており結果を踏まえさらなる改良や普及促進が期待される。

【海外勢も流入拡大狙う】

 林業機械に加え、川中や川下の効率的な木材加工技術や間伐材利用技術が活用され、国内における木材の需要拡大が図られなければ、持続的な木材利用の循環は生まれない。木工機械メーカーの名南製作所は、高品質の合板には加工できなかった木材や直径の小さい木材などを合理的に活用できるようにした機械を開発。木材を切断するための回転力を木材の外周から加える画期的な構造で、国内外の工場に採用されている。

 バイオマス発電燃料などとして利用拡大が期待されるのが木材チップ。三蓉エンジニアリングは廃木材のリサイクルを手助けする破砕装や選別機を開発している。水分を多く含んだ樹皮を目詰まりなく連続破砕できる樹皮破砕機など破砕装置から、選別、ふるい分けまでトータルで納入できる体制が注目を集める。

 こうした日本の林業機械や木材製品の利用拡大を目指す動きは、機械化で先行する海外勢にとっても広がりを見せる市場と見られる。オーストリア大使館は今月、東京と札幌でオーストリア製林業機械や太陽エネルギーを使った木材チップの乾燥装置などを紹介するイベント「森からのエネルギー創出」を開催した。オーストリアはじめ高効率な欧州製林業機械を国内に投入しているイービジョンエンジニアリングの阿部智社長は「アルプスの険しい山々で培われた技術は、傾斜地の多い日本の森林地帯でも利用価値が高い」と訴え、活発な商談会が行われた。

 オーストリアでは「輸出品のうち建材や家具など木材関連製品が20%を占め、木材需要が増加傾向にある」(マルティン・グラッツオーストリア大使館商務参事官)ことから最近は林業就業者の賃金も伸びているという。国や自治体が支援する林業研修センターが国内に5カ所あり、安全面に配慮しながら高度な林業機械を操作できるオペレーターを養成。人材育成まで踏まえた総合的な林業政策が成果を上げている。

 林野庁ではこうした欧州型林業システムを見習おうと森林・林業再生プランで森林管理を総合的にコーディネートする欧州の「フォレスター」を招集した研修や日本型フォレスターの設立なども模索している。

 今後は同プランの具現化で、復興の動きが本格化することが期待される国内林業市場。海外勢とも相まったグローバル競争も増えていきそうだ。

【2011年は国際森林年-美しい森林づくりへ、全国で多彩なイベント】

2月14日、国際森林年にちなみ、演劇や音楽ライブなどを通じて木の魅力発信や国産材活用を促すイベント「ライブトリアード2011」が東京都江東区の木材会館で開かれた

2月14日、国際森林年にちなみ、演劇や音楽ライブなどを通じて木の
魅力発信や国産材活用を促すイベント
「ライブトリアード2011」が東京都江東区の木材会館で開かれた

 今年は国連が定める「国際森林年」の一年。国連総会決議では現在と未来の世代のため、持続可能な森林経営、保全、開発を強化することについてあらゆるレベルで認識を高めるよう努力すべきだとされている。折しも日本では、ナラやシイの木々が枯死するナラ枯れ、都市エリアへのクマの出没といった被害が象徴的なように、森の荒廃がクローズアップされている。国際森林年を契機に美しい森林づくりを推進するよう、今年は全国各地でさまざまなイベントが行われる予定で、木材製品の利用を広める「木づかい運動」の呼びかけなどが活発に行われる。


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