業界展望台

研削盤と研削加工技術

8月30日(火曜日)付 日刊工業新聞 10面〜13面 広告特集から

<出稿企業一覧>

企業名   新聞広告
岡本工作機械製作所 ソフトが遅れていた研削盤、加工条件自動設定機能を開発しました
光洋機械工業 研削加工分野のシステムサプライヤーを目指す
ジェイテクト CBN研削で量産品部品加工の最適を実現
丸栄機械製作所 円筒・内面研削盤を中心に、ニーズに対応した製品を供給。
日進機械製作所 0.1μmの世界を実現する高精度・高品位センタレスグラインダ
光機械製作所 「研削」をテーマに顧客ニーズに合わせた製品づくりに取り組む
コンドウ コンパクト化の提案!
市川製作所 製品精度の厳しい要求と、生産性向上に対応するロータリー平面研削盤!!
和井田製作所 超精密・超微細な研削盤に特化した開発、製造など複合技術の進化
三鷹工業所 精密濾過で加工トラブル解消!環境問題に取り組むMITAKA
牧野フライス精機 精度と能率を高次元に融合した高精度CNC工具研削盤
ナガセインテグレックス 金型コストは、削減してはいけない。
アマダマシンツール 環境性能、加工精度、操作性の向上を目指し進化し続ける。
日本精機 静圧軸受搭載型CNCセンタレスグラインダー
大平製作所 自動車部品から電子部品まであらゆる研削加工製品に対応
廣島製砥所 研削研磨の可能性を拡げる砥石・異種混合粒砥石
川崎精機工作所 超精密研削加工のことなら
三宝精機工業 輸入・国産研削盤のオーバーホール、改造などの豊富な実績
富士産機 平面研削加工承っております。
シギヤ精機製作所 見えないところにシギヤの技術
スチューダテック S41は高精度化、高速化、高機能化を果たした新世代のベンチマーク。


超精密・高品位・微細加工を追及する研削盤と研削加工技術

ジェイテクト  工作機械・メカトロ事業本部
工作機械技術部 標準機開発室  研削グループ
グループ長 納谷 敏明

CNC円筒研削盤e300G

図1 CNC円筒研削盤e300G

 昨今の厳しさを増す経済状況の中で、われわれの主な顧客である自動車メーカー、家電メーカー、一般産業機械メーカーなどは、製品コストや品質競争において常に優位性を確保していくため研削盤設備に対してもより安定した加工精度、コスト低減のための高生産性および製品ライフサイクルの短縮・多様化などに伴う設備のフレキシブル性の要求を一段と強めている。今回は、これらの要望に応えるために開発した小型シャフト部品の量産加工に最適な「CNC円筒研削盤e300G=図1」(以下、本機と称す)を紹介する。

イニシャルコスト低減 駆動金具用いず研削加工

◆生産性を向上させる標準パッケージ仕様

図2 標準パッケージ仕様

図2 標準パッケージ仕様

 本機はストレート砥石(といし)の取り付けが可能なe300GPと、アンギュラー砥石の取り付けが可能なe300GAの2シリーズをそろえている。

 両シリーズともに小型シャフト部品の加工に適した仕様を標準パッケージ化することで、顧客のイニシャルコスト低減を実現した。具体的には工作物の長手位置を測定する端面測定装置、工作物の外径寸法を測定する定寸装置、工作物仮受台、両側駆動主軸台を標準付属している(図2)。

◆両側駆動主軸台

 両側駆動主軸台は、工作物の両センター穴と工作物を支持するセンターとの間に発生する摩擦力が研削時の接線研削抵抗力以上の摩擦力になるようセンター加圧力を制御して工作物を保持する。この方式で左右の主軸を同期回転することにより、駆動金具を用いずに研削加工が可能となる。

図3 両軸駆動主軸台

図3 両軸駆動主軸台

 本主軸台のメリットを以下に示す。

 (1)駆動金具やチャックが不要となるため、多種工作物を研削する場合の工作物変更の際、それらの交換段取り時間が不要となる(図3)。

 (2)工作物の両端部を研削する場合、従来、駆動金具やチャックがあると工作物の端部が研削できないため、2工程に分割し、ローダーなどの反転装置を用いて1台の機械で加工するか、あるいは2台の機械を必要としたが、本主軸台により両端部を1台の機械でワンチャッキング加工できる(図4)。

◆普通周速度CBNホイールによる研削加工

図4 両軸駆動主軸台によるワンチャッキング加工

図4 両軸駆動主軸台によるワンチャッキング加工

 本機は普通砥石仕様に加えて、普通周速度(毎秒45メートル)の立方晶窒化ホウ素(CBN)ホイール仕様を選択できる。

 従来、CBNホイールを使った研削加工では、砥石周速度毎秒80メートル以上の高周速度の研削で生産能率を高めることによりサイクルタイムを短縮し、設備台数の削減を図ってきた。

 しかしながら、砥石周速度の高速化には砥石軸モーターや研削液供給装置の大型化、研削液飛散防止のための全体カバーの構造の複雑化などが必要となり、普通砥石仕様に対して設備費が高価になるという欠点があった。

 普通周速度CBNホイールによる研削加工のメリットを以下に示す。

 (1)普通砥石仕様の機械構成を最大限に活用し、最小コストでCBNホイールによる研削加工を実施できる。

 (2)CBNホイールの持つ低ツールコストや高生産性のメリットを引き出すことができる。

低研削抵抗を実現−メンテナンス工数の削減も

◆普通周速度CBNホイールの特徴

 従来の高周速度CBNホイールを普通周速度でそのまま使用すると、砥石摩耗量が多くなるため砥石修正インターバルが短くなり、結果的に砥石寿命が短くなる。それに対し、普通周速度CBNホイールは、普通周速度での使用時に最適になるような砥粒(とりゅう)、集中度、およびボンドを選定することにより低研削抵抗を実現し、砥石寿命を従来の高周速度CBNホイールと同等にした(図5)。

図5 普通周速度CBNホイール

図5 普通周速度CBNホイール

◆ランニングコスト40%低減

 普通周速度CBNホイールを用いると、以下に述べるような効果により、従来の普通砥石仕様の設備に対しランニングコストを約40%低減できる(当社試算による)。

(1)砥石交換頻度の削減

 CBNホイールの砥石修正インターバルは、普通砥石と比較して約60倍伸ばすことが可能である(研削条件などにより砥石修正インターバルは変わる場合がある)。これを砥石交換周期に換算すると、普通砥石で2週間に1回実施の砥石交換を、CBNホイールでは7カ月に1回の砥石交換頻度に削減できる。

(2)砥石径変化による研削条件変更工数の削減

 普通砥石の場合、砥石径が最大径から最小径に変化していく間で砥石周速度が変化し、研削精度維持のために何度か研削条件を変更する必要がある。一方、CBNホイールの場合、1回当たりの砥石修正インターバルが長く、しかも砥石径が最大径から最小径に変化しても直径で数ミリメートルしか変わらないため、砥石周速度にほとんど変化がない。このため、最初に設定した研削条件を最後まで変える必要がない。

(3)研削液設備のメンテナンス工数の削減

 普通砥石の場合、研削切り粉の中に脱落した砥粒が混入し、研削液供給装置内に砥粒が沈殿し堆積するため、定期的にそれを取り除く作業が必要である。それに対し、CBNホイールでは研削切り粉に砥粒はほとんど混入せず、研削液供給装置内に堆積することもないので、メンテナンス工数を減らすことができる。

加工精度を長く安定確保−簡単でわかりやすい操作性

◆加工精度の長期安定化

 CBNホイールの場合、普通砥石と異なり脱落する砥粒がほとんどないため、最初に砥石修正したときの砥石の表面性状が長く維持される。例えば、普通砥石で10本に1回の砥石修正が入る場合、1本目と10本目で工作物の表面粗さの状態はかなりの違いがあるが、CBNホイールでは1本加工するごとの表面粗さの変化が小さいため、砥石修正インターバルを長くすることが可能となり、工作物の加工精度を長く安定的に確保できる(図6)。

図6 加工精度

◆加工事例

 本機を用いた小型シャフト部品の加工事例を紹介する(図7)。

加工事例

図7 加工事例

 この部品は工作物の両端を加工する必要があるため、従来は2工程に分割し、ローダーなどの反転装置を用いて1台の機械で加工するか、あるいは2台の機械を必要としたが、本機では前述の両側駆動主軸台を搭載することによって、1台の機械で全ての加工部をワンチャッキング加工できる。

 また、普通周速度CBNホイールで加工することにより、実研削時間は普通砥石での加工に対して18秒短縮、砥石1枚で生産できる工作物本数は普通砥石に対して9倍になり、生産性を向上することができる。

◆「視える化」を実現する高機能CNC装置

 本機の制御システムは当社が独自で研削加工用に開発したCNC装置「GC50」と、視える化が容易に実現できるプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)として高い評価を得ている「TOYOPUC」を搭載している。GC50は研削加工に必要なNC機能が豊富に搭載され、単純・簡単で分かりやすい操作性と高速化技術にこだわったパソコンベースのCNC装置である。機械操作者に分かりやすい日常・段取り・保守の作業レベル別メニュー構成や、電気シーケンス回路の知識や熟練保全マンのような経験がなくても異常状態や復帰方法がわかる保守画面構成など、当社が生産ラインから得た多くのノウハウを結集したHMI(Human Machine Interface)となっている。

 ここでは「視える化」機能の一例として、簡易形状測定機能(オプション)を紹介する。本機では、工作物の外径寸法を測定する定寸測定装置を用いて円筒加工部の形状サンプリングデータをCNC装置に取り込むことにより、簡易的に工作物の形状測定・表示をすることができる。システム図を図8に、表示される画面の例を図9に示す。この機能により円筒加工部の形状の把握や良否判定が可能となり、後工程への不良品の流出が防止できる。

図8 形状測定機能

図8 形状測定機能

図9 形状測定機能 画面表示例

図9 形状測定機能 画面表示例

◆省スペース

図10 標準機械配置図

図10 標準機械配置図

 本機は主軸台の小型化、砥石径の最小化などにより、センター間距離(加工可能な工作物の最大長さ)が320ミリメートルでありながら、センター間距離が250ミリメートルである当社のGE3P-25IICNC汎用円筒研削盤と同じ機械設置面積を実現した。本機の標準機械配置を図10に示す。

◆環境配慮型製品をお客さまに

 当社は地球環境にやさしいモノづくり企業として、生産性向上による環境負荷低減とともに、環境配慮型製品の開発・提供を通じて地球環境に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて活動を推進している。その活動の一つとして独自の環境適合性評価指標「Eco―Scale」を用い、アセスメント項目として省エネルギー、省資源、環境保全性の観点からの改善度合いを視えるようにしている。Eco―Scaleで評価した場合、本機は当社従来機に対して環境評価を20%改善している。

◆おわりに

 本機は両側駆動主軸台の搭載、普通周速度CBNホイールの採用などにより、生産性向上や信頼性の向上に対応できる小型シャフト部品の量産加工に最適な研削盤として開発した。

 今後も顧客の課題を解決するための技術・機能・品質を盛り込んだ製品をタイムリーに供給し、顧客の工程原価低減に貢献できる設備を提案していきたい。

Next 高付加価値を創出する 研削盤と研削加工技術

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