業界展望台
都市・社会づくりを支える 建設機械
10月27日(木曜日)付 日刊工業新聞 14面〜15面 広告特集から
<出稿企業一覧>
| 企業名 | 新聞広告 | |
|---|---|---|
| エコネット | 輸出時、あなたの建機を錆びから守る。フルイドフィルム。 | |
| レニアス | 安全性と快適性を向上するアルミ・ポリカーボネート加工製品 | |
| 古河ユニック | 建設から物流、復興支援まで「建設機械」のユニック。 | |
| タダノ | 究極の性能と走りの自由。 |
建設機械は土木工事や建築工事から災害の復旧・復興事業まで幅広い現場で活躍している。建設機械の出荷金額は国内向け、輸出ともに増えており、2011年度伸び率が前年度比2ケタになるとの予測もある。建設機械業界は大気汚染防止、低騒音といった環境対策や、安全対策などさまざまな課題に取り組んでいる。3月11日に発生した東日本大震災の復旧・復興にも尽力。政府は東日本大震災の被災者就労を支援するため、建設機械操作資格取得の訓練コースを創設している。政府関係団体と業界団体は建設機械関連製品を手がける中小企業の海外展開を支援している。
11年度は前年度比18.3%増
20カ月連続増加
日本建設機械工業会(CEMA)がまとめた11年8月の建設機械出荷金額は、前年同月比19.3%増の1781億8000万円で、20カ月連続して前年同月実績を上回った。これを内需(国内)と外需(輸出)に分けてみると、国内は同30.9%増の522億6200万円、輸出が同15.0%増の1259億1800万円だった。国内は東日本大震災の被災地での需要が伸びた。輸出は中国の金融引き締め策が響いたものの、そのほかの市場で好調を維持した。国内は5カ月連続、輸出は20カ月連続の増加となった。
機種別にみると、国内は10機種中7機種が前年同月実績を上回った。油圧ショベルが同37.3%増の147億2100万円、ミニショベルが同48.7%増の50億58000万円、建設用クレーンが同64.7%増の98億9900万円、トンネル機械が同19倍の4億9400万円、基礎機械が同90.9%増の35億6800万円、油圧ブレーカー圧砕機が同75.2%増の9億8100万円、その他建設機械が同44.6%増の44億2700万円だった。油圧ショベルは車体重量6―12トン級が伸びている。
輸出は10機種中、基礎機械と油圧ブレーカー圧砕機を除く8機種が上回った。トラクターは同41.5%増の213億9400万円、油圧ショベルが同8.6%増の519億600万円、ミニショベルが同19.6%増の96億5100万円、建設用クレーンが同67.7%増の70億9200万円、道路機械が同29.1%増の28億3700万円などとなった。
輸出を地域別にみると、「欧州」が同0.8%増の125億2600万円、「中南米」が同約2.2倍の63億9700万円、「北米」が同35.8%増の195億2600万円、「独立国家共同体(CIS)その他東欧」が同約2.2倍の72億4100万円、「中国を除くアジア」が同8.4%増の192億4800万円だった。欧州が21カ月連続、中南米が19カ月連続、北米とCISその他東欧が16カ月連続、中国を除くアジアが3カ月連続で上回るなど、全9地域中8地域が増加した。
ただ「中国」は同30.1%減の83億8100万円。11年4月以降では6月が前年同月実績を0.5%上回ったものの、それ以外の月は2ケタの減少率となっている。金融引き締め策から工事が延期される傾向にあるからだ。
CEMAが11年8月にまとめた11、12の両年度の建設機械本体出荷金額予測によると、11年度の出荷金額は前年度比18.3%増の2兆282億円、12年度は11年度比10.5%増の2兆2419億円となる見込みだ。国内は東日本大震災の復旧・復興関連投資によって、伸び悩んでいた販売台数が回復すると予想。輸出は新興国などでの需要増が続くとしている。
国内の出荷金額は震災復興関連のリースやレンタル向け需要増を織り込み、11年度が前年度比24.3%増の5230億円、12年度が同6.4%増の5572億円と予想した。油圧ショベルについては11年度が同37.3%増の1869億円、12年度が同8.8%増の2063億円。このほかミニショベルや建設用クレーン、道路機械、油圧ブレーカー圧砕機なども堅調な伸びを予想した。
一方、輸出はアジアの新興国や資源国の需要に加えて北米向けも増加し、11年度に同16.4%増の1兆5049億円、12年度に同11.9%増の1兆6847億円を想定。中国の落ち込みをほかの地域がカバーするとみている。12年度はピークだった07年度の1兆6535億円を超えて過去最高水準に達する見通しだ。

温暖化対策に貢献
環境、安全対策
環境に配慮した建設機械の市場投入が行われている。大気汚染防止に関しては、排ガスに含まれる有害物質の削減を求める「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)2011年基準」をクリアした油圧ショベルが国内で登場している。排ガスの一部を冷却して吸気側に循環させることによって、燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOX)の排出を低減している。
低騒音対策では、国土交通省の超低騒音型建設機械の基準値に適合したエンジンを搭載した油圧ショベルや搭乗式締め固め機械が製品化になっている。
安全対策でも新たな取り組みが進んでいる。建設機械に搭載した複数の広角カメラで撮影した画像を合成して運転席のディスプレーに表示し、運転席の周囲安全確認を支援するモニターシステムが開発されている。超大型油圧ショベルなどへのオプション搭載を想定。12年春をめどに製品化が予定されている。

東京都中央区の壁面緑化工事で活躍する高所作業車
建設機械は地球温暖化対策や再資源化に貢献している。作業床が昇降して任意の位置に移動できる高所作業車は、照明工事や高架橋工事のほか、温暖化対策として行われている壁面緑の工事現場でも稼働している。建設リサイクル法に基づいた資源の再生では、自走式クラッシャーや自走式木材破砕機、自走式土質改良機などが成果を上げている。
操作資格取得のために訓練
東日本大震災
建設機械は災害の復旧・復興事業で欠かせない存在となっている。
東日本大震災の復旧では、CEMAが政府に要請して、建設機械のフィールドサービス(出張サービス)にあたる関係者・機械が立ち入り制限地域に入って、同サービスができるようにした。建設機械は使用条件が過酷なため、故障修理、メンテナンスが必要となることが少なくない。故障して機械がダウンしてしまうと仕事が進まないため、一刻も早く修理し、作業復帰させることがフィールドサービスに期待されている。被災地域の復旧工事で稼働する建設機械の故障修理、メンテナンスにおいても、同サービスが期待されるところは大きい。

宮城県石巻市の災害廃棄物仮置き場で、
廃棄物受け入れ整備を行う油圧ショベル
CEMAの今回の要請には、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災での経験が生かされている。当時もCEMAは震災発生後すぐに緊急車両扱いの要請を行った。CEMAと政府の連携が奏功し、建設機械は整備不良になることなく、復旧・復興に貢献することができたという。
建設機械メーカーも東日本大震災で被災した東北地方の建設機械の修理担当者を、がれき処理作業の状況や稼働台数に応じて増強。津波で水没した油圧ショベルなどの修理などにも当たっている。建設機械レンタル会社は被災地向けに建設機械をはじめ、発電機、投光器、仮設ユニットハウス・トイレなどの供給体制を整備している。

宮城県大和町で行われたホイールローダーの
操作資格を取得するための実技訓練風景
厚生労働省は東日本大震災の被災者の就労を促進するため、岩手、宮城福島の各県で、訓練コースを設定し、操作資格を取得できる職業訓練を支援している。
宮城県では復興に必要な人材を育成するための特別訓練コース(建設重機操作科)を創設した。震災で離職を余儀なくされた人の就職を支援するのが狙い。がれき処理をはじめ復興に向けた基盤整備に欠かせない車両系建設機械の操作資格を取得するための訓練だ。対象は油圧ショベルとホイールローダー。訓練日程は学科、実技合わせて6日間、計42時間。訓練は県内の5地区で計100人を対象に、8月から10月にかけて地区別に実施された。
民間でも建設機械を含む重機械のメーカーが、東日本大震災で被災した福島県内の被災者に建設機械の運転資格取得を無償で支援。技術教習所で技術講習を受けた被災者が、がれき撤去や災害復旧に従事したケースもある。
中小企業のインド進出支援
海外展開
建設機械関連製品を手がける中小企業向けに、海外展開を支援する事業が計画されている。日本貿易振興機構(ジェトロ)はインドのバンガロールで11月23―27日に開かれる建設機械展示会「EXCON 2011」に、建設機械の中小企業の小間を集めた「ジャパン・パビリオン」を設けて、販路拡大を支援する。
今回、ジェトロは国が進める中小企業の輸出促進策の一環として、同パビリオンの主催者となっている。インドおよび周辺地域における建設機械関連製品・技術のピーアールの機会、新規取引先発掘の場として出品する企業を募った。既に募集を終えており10数社が参加する。道路補修機械、付属装置などの建設機械関連製品・同部品や、付帯サービス関係の企業が出品する。
さらに募集情報を会員向けに提供してきたCEMAも参加する。CEMAも会員向けに海外進出支援を計画しており、ジャパン・パビリオンに協力することになった。CEMAによると、同国で日本の建設機械業界がまとまって1カ所で展示活動するのはこれが初めて。
ジェトロによると、EXCON 2011は、アジア地域第三位の規模を誇る建設機械展示会であり、業界関係者が一堂に会する情報交換の場となっている。バンガロールで隔年開催されており11年開催が6回目。主催はインド工業連盟(CII)。前回の09年度は3万人が来場。会場規模は16万平方メートルだった。出品者464社・団体中、140社・団体がインド国外から出品し、中国、ドイツ、イタリア、英国の四つのナショナル・パビリオンが設けられるなど、非常に国際色豊かな展示会だったという。
高成長を続けるインドビジネスに対して日本企業の関心が集まっており、中小企業の注目度も高い。日本の建設機械メーカー大手の中には、現地に生産拠点を設けるなどして、同国市場に進出している企業がある。
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