地域応援隊

活力と創造を発信する 南大阪地域

4月22日(木曜日)付 日刊工業新聞 18面-19面 地域特集から

<出稿企業一覧>

企業名   新聞広告画像
ナカノ 手作業工程を効率化
光陽精機 難加工歓迎 大型横中ぐり導入
ツールオカフジ 信頼をカタチに、オリジナリティを追求するエンジニア集団
サンアイ バックラッシュゼロ!! グリップネジ
青葉化学工業 安全性をモットーに高品質で信頼ある製品を開発しております
浪速製鋼  
旭精工 産業機械を支えるバリエーションに富む商品
コーケン・テクノ 生産溶射に豊富な実績を持つコーケンのアーク溶射機
可陽工業 究極の後圧入
三木スライド アリ型スライドいろいろ
小林鉄工 長尺パイプ加工に最適!!ライブグリッパー(回転仕様)
三洋金属熱錬工業 連続熱処理(焼準:焼入、焼戻)オーステンパー
テクノロール 新技術の開発と最高の品質を追求し続けます
シンマルエンタープライゼス 0.1mmφ以下の微小ビーズが、湿式分散をナノメーターの領域へと導きます
日本ピローブロック BALL BEARING UNITS
SANPLA P3 金属加工からプラスチック+α アッセンブリまで
泉陽硝子工業 電子部品用硝子材料
カワサキ 高級シェニール織タオル・雑貨
八田工業 真空熱処理、イオン窒化処理、ワイヤ放電加工
ミナルコ アルミニウム粉
加地テック 地球にやさしいCNG・水素・SF6ガスコンプレッサ
富士高周波工業 高周波焼入れ・レーザー焼入れ
アドバンテック 袋セメント、バラセメント販売
トワロン 自然にやさしい高耐久ワイヤ
上井鉄工所 フランジ加工ならお任せください
トーヨーメタル 銅・アルミ バルジ継手加工
村上精機 精密機械部品加工 ユニット制作
中尾真一特許事務所 知的財産業務を総合的にサポート

 大和川以南に広がる南大阪地域の産業動向に変化の兆しが見え始めている。堺市臨海部におけるシャープ新工場の建設をきっかけに多くの企業が同臨海部に集結。シャープ効果は堺市に隣接する高石市をはじめ、さらに以南の岸和田市や阪南市の企業誘致にまで少なからず影響を及ぼしている。この状況を受け、堺市は臨海部への企業進出の推進に乗り出しており、他市も堺市に歩調を合わせるかのように企業誘致の強化に乗り出した。今後、各市の産業振興策が相乗効果を生み出せば、南大阪の臨海部に新たな産業圏が誕生する可能性もある。

産業進出サポート−新たな産業圏誕生も

【堺市/臨海部の集積を活用−シャープ効果でマッチング、地元産業の基盤強化】

 堺市は2006年に政令指定都市に移行した。現在の人口は約84万人。刃物や自転車、線香、敷物といった伝統産業が息づく一方で、最近はシャープの液晶パネルや薄膜型太陽電池工場の進出もあって産業構造の基盤に変化が生じている。ただ堺市に根を下ろす企業の多くは中小企業。今後は大手企業の進出効果を既存の中小企業の活性化や、新規誘致の拡大にどう結びつけるかが課題となりそうだ。

 堺市の臨海部にはこれまでにも多くの企業が工場を展開してきた。シャープの進出で、企業集積はさらに加速している。集積に大きく貢献しているのが、シャープを核とした工場群「グリーンフロント堺」(堺市堺区)。同工場群はシャープ工場と十数社の部材供給メーカーから成る。誘致はシャープ主導だが、堺市では雇用拡大や地元企業との取引拡大などの効果があるとみて、今後に期待を寄せている。

 もちろん堺市も独自に臨海部の企業集積を活用した独自の産業振興策を打ち出している。その一つがモノづくり企業の集積拠点「堺浜テクノパーク」(堺市堺区)の運営事業。ダイネツ商事(同)、大裕鋼業(同)、創美工芸(大阪府八尾市)など有力中小企業12社が入居している。

 同パークの場所はグリーンフロント堺の隣接地域。パークへの企業募集はシャープ進出の公表前に行ったため、入居を決めた企業側も当初はシャープの進出効果を織り込んでいなかった。しかしここに来て、入居企業も、シャープ効果に期待を寄せ始めている。

 その具体例の一つがパークに近接する事務所棟「創知村」における企業ニーズのマッチング活動。パーク内の企業や地元企業の多くは液晶や太陽電池に直接関係のない事業を展開している。ただ工場内には生産ロボットなどもあり、機械関連でもシャープとの関連が期待できるため、堺市では創知村を核に地元産業の活性化を狙う。

 これらの追い風を受け、堺市では新規企業の誘致も進める方針だ。2005年度に制定し、09年度末を期限としていた「企業立地促進条例」も一部改正し、10年度以降も継続する。同条例は10億円以上を投資する会社を対象に、固定資産税や都市計画税などを投資額に応じて50―80%減額する措置で、軽減期間は5年間。堺市は条例などを通じて新規企業の進出や既存企業の増設・移転を促し、臨海部の活性化を目指す。

【岸和田市/ちきりアイランド−ビジネス拠点に育成】

 岸和田市は阪南港沖で大阪府が造成中の「ちきりアイランド」で企業誘致に取り組んでいる。同アイランドは関西国際空港との距離も近く、新たなビジネス拠点として注目を浴びており、現在は第1期製造業用地約15ヘクタールの整備を完了した。すでに市内の企業を中心に自動車部品や製缶板金業など10社が工場を設置、操業を始めている。

 今後は第1期製造業用地に隣接する保管施設用地約15ヘクタールの整備に着手。さらに第2期製造業用地約9ヘクタールもあり、将来は第2期用地も造成に乗り出す。岸和田市では今後も同アイランドのアクセスの良さを前面に押し出し、ビジネスの拠点に育成していく。

 ほかにも産業集積地の空洞化を防ぐため、産業支援制度を実施。工業専用地域や準工業地域などを対象に企業が新たに取得した土地について、固定資産税相当額の半分を5年間交付するなどの助成措置を2014年3月末まで行う。

【阪南市/立地奨励金で誘致促進】

 阪南市は開発事業地「阪南スカイタウン」の整備を進めている。企業のほか一般住宅や学校などが集積した区域で、十数社が同事業地への施設設置を決めた。金属加工から洋菓子製造、衣料品流通加工などいろいろな種類の工場が進出しており、一部の企業はすでに操業を始めている。

 同市の場合もスカイタウンへの工場設置を促進するため、企業誘致促進条例を活用。進出企業を対象に立地奨励金の交付を行っている。奨励金は取得や借り受けた土地を対象に、1平方メートル当たり500円を支給。建設した家屋についても、延べ床面積で1平方メートル当たり500円の奨励金を支払う。同条例は2012年3月末まで実施する。

 一方、スカイタウンの北側に第二阪和国道が走っていることもあって、交通の利便性も高い。阪南市ではこれらの利点をアピールし、今後も同タウンへの企業誘致を進め、地域産業の振興に役立てたい考え。

【高石市/固定資産税、5年半額に】

 高石市は堺市の南に隣接している。湾岸部を「工業専用地域」に指定。同地域には大阪ガス、三井化学、新日本石油精製などが軒を連ねている。このほか高師浜など市内の数カ所に工場以外にマンションなどの建設も可能な「準工業地域」を保有している。

 同市も企業立地促進制度を2007年に施行した。工業専用地域や準工業地域に立地する企業に対し、固定資産税などを5年間半分に減額する。適用期間は12年3月31日まで。

 ただ工業専用地域はすでに利用が進んでおり、高石市では一度進出した企業が長くとどまれる環境作りに主眼を置いているという。

 さらに大阪府や堺市、企業などで構成する「堺・泉北ベイエリア新産業創生協議会」も発足している。同会では企業間や産学連携のほか人材育成に注力。参加メンバーが実務に必要な資格を取得できるように講習会を開催するなど湾岸部の活性化に努めている。

地域振興実現へ 産学の知恵結集

行政が地元の活性化に力を入れる一方で、地域に密接に結びついている各種団体もそれぞれの立場から地域振興の実現に取り組んでいる。特に商工会議所や大学は行政とは異なった視点を持つ。それだけに行政の施策と地域に根付く団体の打ち出した振興策が結び付き、相乗効果を生み出すことになれば、堺市を中核とする南大阪地域が一大経済圏に発展する可能性も高い。

堺商工会議所2010年度事業計画−産業都市の発展目指す

 堺商工会議所は2010年度事業計画をまとめた。同会議所の主な活動内容は地元中小企業の活性化。昨年度は創立130周年という節目を迎えた。今年度は4月1日付で美原商工会(現美原支所)と合併したこともあり、美原区域を含めた地域産業の安定的発展などを目標に新たなスタートを切る。堺商工会議所は合併を機に会員数拡大の活動を強化し、今まで以上に地域活性化の実現に向けて力を注ぐ考えだ。

 実施する事業は4本の柱で構成。具体的には「活力ある産業都市・堺の実現」「挑戦する地域・地場産業の支援」「組織の拡大と魅力ある商工会議所づくり」「政策提言力の強化」を方針に据えた。四つの事業の着実な実施による中小企業の支援をベースに地域経済の振興につなげる。

 このうち、「活力ある産業都市・堺の実現」では重点項目として企業誘致推進などを掲げた。堺市との連携で市内外から移転を希望する企業に産業用地などのマップを提供、誘致の後押しにつなげる。すでに堺市内に拠点を持つ企業に対しては、市内産業用地に関する情報提供といったサービスを提供し、市外移転の防止に努める。

 「挑戦する地域・地場産業の支援」では、まず中堅中小企業の経営力の強化を重点施策とした。経営支援の具体策として、経営指導員による巡回や専門相談員を通じた支援などを展開する。ほかにも中小企業の金融円滑化支援や、各種講習会なども行う。

 もちろん地場産業・伝統産業の振興にも力を入れる。堺市の場合、自転車や刃物産業が長く息づいている。そこで会議所では自転車産業を振興するため「堺自転車産業活性化プロジェクトチーム」を設置する計画。同チームが中心となり、点検・修理の可能な取扱店マップの作製に力を入れる。刃物についても関連イベントのPRに加え、関連商品のカタログ作成などの販促活動を展開していく。

 ほかにも地域全体のイメージアップなどを目的に創設した堺ブランド「堺技衆」認証企業による連携やマッチング事業を推進。国際経済交流事業として海外産業視察団を派遣すると同時に、今後経済成長が見込めるベトナムとの積極的な交流にも乗り出す。さらに産学連携についても大阪府立大学を中心に協力関係の強化を狙う。

 「組織の拡大と魅力ある商工会議所づくり」では美原商工会との合併を受け、会員数拡大を進める。そこで合併を記念し、美原区域の地場産業活性化事業に着手。同区域の地場産業や文化を周知するイベントを開催する。商工会議所では、これらの施策を通じて美原区域会員の参加を促し、6000会員の突破を狙う。

【インタビュー/羽衣国際大学産業社会学部准教授・小川雅司氏「伝統産業の観光資源化を」】

羽衣国際大学は2002年、羽衣学園短期大学を母体に誕生した。学生数は約1000人。現在は産業社会学部と人間生活学部の2学部を持つ。堺市南部に位置し、学生の多くが地元出身者など地域とのつながりは深い。南大阪地域の企業に多くの学生を送り込み、地域に寄与している同大学は南大阪の経済をどう分析しているのか。地域政策学を専攻する小川雅司産業社会学部准教授に経済活性化案などを考えを聞いた。

〜南大阪地域 前進への道〜

―南大阪経済圏の潜在的に持つ発展の可能性を大きいと見ていますね。
「南大阪は堺市や高石市などから成る泉北、岸和田市や貝塚市などで構成する泉南の2地域に大別されている。これらの市はそれぞれに個性的だが、一つにまとまるとかなり大きな経済圏だ。人口や面積などいくつかの指標を使って関西の主要都市と比較しても遜色(そんしょく)がないとみる。神戸市とライバルになる潜在能力は十分にあると思う」

―ただ現状は必ずしも南大阪地域の経済は伸びていません。
「長引く不況など多くの要因が考えられる。各市がうまくまとまっていない上に、独自の地場産品をアピールしていない点も地域活性につながらない原因だろう。地域に特徴的な製品があっても、宣伝を苦手とする気質が影響しているのかも知れない」

―その一方で、シャープの新工場など期待できる動きもあります。
「確かに堺市もシャープ進出を企業誘致に生かしている。ただ企業の招へいによる経済活性はいわば“外来型開発”で、行政はこの手法をとりがち。しかし企業進出で地域振興を実現するには、地場産業になじまなければ意味がない。言い換えれば、行政側も既存の産業との関係を踏まえた上で、企業を呼ぶ必要がある」

―シャープの工場と地場産業を関連づけ、地域活性につなげる方法はないのでしょうか。
「例えば堺市の場合、シャープをはじめとする最先端工場と刃物など伝統産業をセットにした観光ツアーなどが有効と考える。つまり伝統産業の観光資源化だ。産業観光という形式を確立すれば、両者がうまく結びつく。堺市以外でも泉佐野市のタオルなどは十分アピールできるだろう。地場産業は技術の積み重ねであり、これらの強みをアピールして地域間や異業種交流にまで高めれば活性化につながる」

―南大阪地域の各市が手を結び、発展していくための条件は。
「まず南大阪以外から各市を客観視できるコーディネーターを招き、協力関係を模索する方法が考えられる。コーディネーターは大学関係者などを想定しているが、能力ある人材の育成も進めるべきではないか。繰り返すが、大手企業の誘致だけではなく、あくまで地場産業の振興につなげねばならない。コーディネーターの支援で地域伝統技術のブランド化を進め、最近の消費傾向である多品種少量生産に対応すれば、南大阪の経済は発展に向かうはずだ」

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