地域応援隊

製造業をリードする中部の工作機械

7月12日(月曜日)付 日刊工業新聞 12面-14面 地域特集から

<出稿企業一覧>

企業名 PR 新聞広告画像
オークマ 立型マシニングセンタ GENOS M460-VE
ジェイテクト グライディングセンタ TG4 高付加価値な複合研削
ヤマザキマザック INTEGREX i-200 価値ある高機能
ヨシダ鉄工 メンテナンス負担を大幅に軽減 チップ処理でお困りの方に…
スギノマシン 超小型・5軸制御精密形状加工マシン Xion-III-5AX

受注減傾向から反転へ

 工作機械業界は最悪期から脱したところだ。2008年秋のリーマンショック以降、主要顧客の自動車産業を筆頭に生産量が大幅に減少。生産量に比べ顧客が保有する設備の能力が過剰となる状況が続き、新規設備投資が急減してしまっていた。ところが、ここにきて中国などの新興国で、工作機械需要が増加傾向にあるほか、海外の他の国でも増えている。全体の市場は着実に拡大に転じたところだ。

工作機械主要8社の受注動向

中国向け需要が突出−過熱するEMS業者向け

 中部地域の工作機械業界は受注減の傾向から反転し、徐々にだが受注が増えつつある。中部経済産業局がまとめた管内の工作機械メーカー主要8社(オークマ、アマダマシンツール、ジェイテクト、コマツNTC、富士機械製造、豊和工業、三菱電機名古屋製作所、ヤマザキマザック)の受注動向によると、10年5月の総受注高は289億2500万円(前年同月比2.7倍)。前年同月の受注水準が極端に低かったこともあるが、大幅増になっている。

 受注の内訳を国内と海外で比較すると、国内受注の合計が120億5800万円(同3.1倍増)に対し、海外受注の合計は168億6700万円(同2.5倍)。ともに大幅増だが、受注合計で見ると海外受注が多い。そんな中でも国別で注目されるのが、中国向けの伸長だ。

 同じ中部経産局の調べでは中国向けで過去1番目に多かった月は、3月の66億9800万円(同4.6倍)。続いて4月の60億9500万円(同3.2倍)が過去2番目に多い額となった。5月の受注額は44億7700万円(同2.3倍)とやや減ったが、3、4月と2カ月連続で中国向けが高水準で推移している。

 海外向けは中国以外の伸びも決して低くはない。5月の国別1位は米国で、受注額は51億5900万円(同3.2倍)。2位は中国で、3位の韓国向けは12億3900万円(同13.5倍)となった。主要輸出先は確実に回復基調にあると言えそうだ。

 ただ突出して工作機械需要が増え続けているのは中国。このため中国市場が工作機械の最大の激戦地となっており、各社厳しい戦いを強いられている。というのも、中国には現地工作機械メーカーが多いため。切削型の工作機械メーカーだけで740社、鍛圧・成形型のメーカーも含めると1300社を超えると言われ、その数の多さは群を抜いている。
中国は工作機械生産高で09年に首位になっており、社数に見合った生産量がある。これら現地工作機械メーカーを支える鋳物メーカーも多く、09年の鋳物の生産量は3530万トンと世界首位を誇る。これだけの数の現地企業が中国で受注活動を繰り広げているだけでなく、欧州の有力メーカーや韓国、台湾勢も中国で積極的に展開している。中国の現地メーカーの価格が安いため、価格競争は厳しくなる一方だ。
中国の工作機械需要は建設機械や自動車部品など幅広い業種で旺盛だが、中でも最も加熱している分野の一つなのは電子機器製造受託サービス(EMS)業者向け。これは主軸のテーパーが30番のマシニングセンター(MC)や自動旋盤など小型の工作機械が中心だ。30番のMCを生産する工作機械メーカーの首脳は「中国向けは1社からの受注が大きくて、受注動向が読みづらい。それに受注が取れても利益はそれほど確保できない」と打ち明ける。

 さらに「一度の受注額が大きいだけに、キャンセルされないか怖い」(工作機械メーカー首脳)との声も聞こえ、受注できたとしても安心はできない。

 中国は非ホワイト国のため、軍事転用を防止するために日本の工作機械メーカーが輸出したり現地で生産したりするには経済産業省からの許可が必要になる。このため事務処理が煩雑になり納期が長くなるため、こうした手続きを必要としない
欧州や台湾などのメーカーに受注を取られるケースも少なくないという。

 ただ売り込むにはさまざまな問題を抱える中国だが、当分の間、中国が工作機械の最大市場であることは間違いない。どうやって中国市場を開拓していくのか、日本の工作機械メーカー各社の動きから目が離せない。

 

 

大手各社、中国で拡販を推進

ヤマザキマザック、8月に大連にTC開設

 中国での需要の高まりに合わせて、大手工作機械メーカー各社は中国での拡販策を進めている。各社がどんな戦略で中国開拓を進めているのか、それぞれの戦略を追った。

 ヤマザキマザックは10月にも中国工場(寧夏回族自治区銀川市)の数値制御(NC)旋盤の生産台数を、月産150台(5月末時)から同200台に引き上げる。すでに5億円を投じて生産設備を増強しており、8月をめどに同180台になる見通し。現地での受注が好調なため、これに1億−2億円を追加投資して生産設備を1、2台増やす計画だ。

 同工場は中国国内向けに2軸制御のNC旋盤を生産しており、受注が好調でフル生産が続いている。日本の工場から部品を送るなどして生産強化を進めているが、対応しきれなくなっている。
5月の同工場の受注は約180台で、すでに現状の生産能力を超えている。このため4月末で50台だった受注残が5月末で700台にまで増えており、生産能力の強化が急務となっている。

 同社は中国市場を重要市場と見ており、6月に中国・広州市に工作機械の展示機能を持つテクノロジーセンタ(TC)を新たに開設したはか、8月にも大連市に同じくTCを開設する予定。生産、販売ともに拠点を充実することで、現地に工場を持つ同社の強みを生かす。

オークマ、9カ所の販売体制整備

 オークマは海外での販売強化を狙いに「海外企画室」を海外本部に設置した。中国などアジアを中心に、現地法人の事業計画の進行の管理や支援を行うほか、営業拠点の新設など販売施策を立案する。同社は新興国市場の開拓を進めており、企画を担う組織を設立する。

 スタッフは海外本部の人員からなり、企画立案だけでなく輸出管理や受注仕様書発行など従来業務も担当する。同企画室が中心となり、販売増に向けた営業戦略やサービス体制などを検討する。

 工作機械需要は中国やインドなど新興国での拡大が期待され、日系メーカーは販売・サービス網の充実が急務となっている。同社でも新興国中心に営業拠点網の拡大を進めており、中国では2010年初に長春市に新設した。09年12月に移転・拡張したばかりの上海市内の販売子会社、大隈机械上海(OMC)を中心に10年中に中国国内で9カ所の販売体制を整え、中国で積極的に拡販する。

ジェイテクト、上海に営業技術員集結

 グループの総合力を活用して中国開拓を進めるのが、ジェイテクトだ。同社は工作機械事業以外に軸受や自動車の駆動系部品、パワーステアリングなど幅広い事業を手がける。このため中国・上海市にこれら各事業を中国で統括する会社「捷太格特中国投資(上海JCC)」がある。ここを活用して中国市場を開拓する。

 上海JCCに中国での営業技術の人員を集結。営業、アフターサービス、見積もりの対応をスムーズに行えるようにする。これにより、自動車関連以外の産業が多く集積する中国南部の営業を強化する。また軸受やパワーステアリングの既存サプライチェーンを活用して工作機械部門も現地調達し、コストを削減する。同社は中国では大連市に工作機械の工場を持つ。大連は主に自動車関連、上海はその他の業種と住み分けながら、中国市場を開拓する戦略だ。

スギノマシン、ドリルユニット増産へ

 中国向けが好調なのは、大手メーカーだけではない。中堅メーカーも技術力が評価されて販売が伸びている。スギノマシン(富山県魚津市)は中国・常熱工場(常熱市)で生産しているドリルユニット「セルフィーダ」とタッピングユニット「シンクロタッパ」の受注が2010年2月から急激に伸びている。

 両ユニットは工作機械に取り付けて穴あけやタップをする装置。現地自動車メーカーなどで生産の自動化と高品質化が進んでおり、両ユニットの需要が旺盛になっている。現在は両ユニット合わせて月産200台だが、今後は同工場の増産も検討する。

 日本や欧米など先進国で需要が低迷する中、拡大する中国市場で拡販に向かうのは必然だ。自社の強みを生かした各社の戦略が功を奏すか、注目が集まっている。


製造業をリードする中部の工作機械−工具各社も積極受注へ

工具各社も積極受注へ

 工作機械と切っても切れない関係にあるのが、切削工具やホルダーなどの工具だ。工作機械は一度購入すれば10年以上は使用するが、工貝は消耗品のため員い替えるペースが速い。このため顧客の仕事量の変動と荷動きが連動しやすいのが特徴で、工作機械以上に景気の変動を敏感に受ける。景気が上向きつつある今、工具メーカー各社は受注増に向けた取り組みを積極的に進めている。

サンドビック、顧客の要望を探求

 超硬工具世界首位のスウェーデン・サンドビック(サンドビケン市)の日本法人、サンドビック(神戸市西区)は、顧客を訪問して要望を聞き、製品などに反映させる改善活動「カスタマー・モニタリング&アクション(CMA)」を行っている。

 営業担当者だけでなく、開発や管理部門など超硬工具部門「コロマント事業部」の全社員200人が顧客を訪問する。聞き取るのは製品やサービスなど超硬工具事業に関するすべての要望。1社あたり要望を三つ聞き出すことを義務づけ、価格など表層的な要望以外で顧客が求めているものを探る。

 経営戦略部にCMAの専任者1人を置いたほか、営業部などの代表7人によるワーキンググループ(WG)を設置した。聞き取った要望を専任者とWGで分析、現場で解決できる案件はすぐ反映する。

OSG、チップ交換式に全力

 OSGは刃先(チップ)交換式工具に本格参入した。チップ交換式工具の新ブランド「OSGフェニックスシリーズ」を投入し、チップ交換式市場の拡大に対応する。2011年夏まで、3カ月間に1回のペースで新製品を追加する。

 OSGフェニックスシリーズは既存のチップ交換式工具で生じている不具合の解決を主眼に開発した。刃先が先端角形状で異素材の重ね板をスムーズに穴開けするドリル「PHP」などまずは4種をラインアップした。

 従来はドイツ・ワルターAG(テュービンゲン市)の日本代理店としてワルター製チップ交換式工員を販売していた。またタンガロイ(福島県いわき市)と共同開発したチップ交換式ラジアスカッターを08年に発売している。このラジアスカッターはフェニックスブランドの「PDR」として販売する。

富士精工、一人で全商品を販売

 富士精工は工員や治具を総合的に販売するため営業部門の組織を改編した。これまで顧客や扱う製品によって三つに分かれていた営業関連の部署を「営業部」に統合し、新規顧客開拓の専門部署を設置した。今回の組織改編で、既存顧客への販売底上げと新規開拓の強化を目指す。

 従来、同社の営業部門はトヨタ自動車の海外工場向け工具の営業をする「グローバル営業部」、工具と付帯設備の営業を担当する「FTE営業部」、チャックや治具の営業を担当する「精機部」の3部署で構成。今回の統合によって、1人の営業担当者がすべての商品を販売するようにし、顧客ニーズの取りこぼしを防ぐ。

 また顧客に治具や金型の技術支援をする「J&D推進室」を新設。同室で顧客が現場で抱える問題を解決するなどし、営業活動をサポートする。さらに「特販営業部」も設置。国内の新規顧客や中国での一括受注を強化する。

大見工業、自社展を10カ所以上

 大見工業(愛知県安城市)は、10年にプライベートショー(自社展)を前年比3倍を超える10カ所強で開く。主力の切削工具に加えて木工用刃物やミストコレクターなど幅広い製品を展示、既存顧客の新規需要を掘り起こす。

 同社はドリルなどの切削工具メーカーで、他の製品は既存顧客でも認知度が低いのが課題だった。10年の自社展の開催地や開催数、時期は現在検討中だが、本社のある愛知県で15日に開くのを皮切りに9月にかけて順次開いていく。同社は09年に初めて自社展を本社と大阪府東大阪市、群馬県大田市の3カ所で開いた。これにより既存顧客への新規販売額が増えたため、10年の開催を増やす。

 工具需要が上向いている今は、拡販の好機だ。このタイミングで進めるそれぞれの取り組みは、販売伸長につながるに違いない。


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