[ 地域経済 ]

首都高、大規模更新推進−進む老朽化、完了は28年度

(2016/9/14 05:00)

道路やトンネル、橋などインフラの老朽化が進んでいる。安全確保には計画的な更新・修繕が必要だ。こうした中で、首都高速道路(東京都千代田区、宮田年耕社長、03・3502・7311)は、大規模更新・大規模修繕の計画を立て、事業を進めている。事業費は6663億円に上る見込みで、2028年度までの完了を見込む。首都圏の基幹ネットワークだけに着実な事業遂行を求められるが、将来は人手不足が影を落としそうだ。(編集委員・村山茂樹)

首都高速道路は、新しく道路を作り直す大規模更新を5路線で計画する。古い路線は供用開始時期が1962年と50年以上が経過し、老朽化している。

5路線のうち、唯一着工済みの高速1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」では、26年度の供用開始を目指して工事を進めている。大林組、清水建設など9社の共同企業体(JV)が施工する。長さは約1・9キロメートル。

同道路は64年の東京五輪開催に合わせ、用地買収が必要ない京浜運河に建設された。長年の利用により、コンクリート剥離や鉄筋の腐食などが多数発生している。また、海面と道路の間が3メートルと狭く「メンテナンスしにくい」(坪野寿美夫プロジェクト部構造設計室更新設計課長)などの問題があった。

新しい道路では、海面から道路までが約12―20メートルの高さがある高架構造を採用。幅員は17・2メートルから18・2メートルに拡張する。工事中は道路交通への影響を避けるため、まず、上り線の迂回(うかい)路を整備し、車を迂回路に流して上り線を架け替える。次に下り線の車を新設した上り線に誘導し、下り線の架け替えを実施する。下り線の架け替えが終わった段階で工事が完了する。

新道路は20年の東京五輪・パラリンピックの開催時点では完成しないものの、古い道路を使用せずにすむ。工場で作ったコンクリート部材を現地で組み立てるプレキャスト化などの実施により、当初予定の工期を14カ月短縮できる計画だ。

ただ、「将来は工事に人が集まらないのではないか」(同)と危惧する。建設業界では高齢化により、今後10年間で100万人以上の離職が見込まれている。今回プレキャスト化を採用したのも、人手がかからないという利点を考慮した。

新道路は100年の耐久性を持ち「維持・管理がしやすくなる」(同)。点検・補修も人材不足問題を抱え、技術やノウハウが伝承されない可能性がある。新工法・新技術の導入による省力化が不可欠になっている。

(2016/9/14 05:00)

関連リンク

建設・エネルギー・生活1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン