- トップ
- 環境・エネルギーニュース
- 記事詳細
[ 環境・エネルギー ]
(2016/9/30 05:00)
石油輸出国機構(OPEC)は、加盟14カ国の原油生産量を、日量で合計3250万―3300万バレルに抑える方針を決めた。8月の生産量3324万バレル(日量)を下回る水準となり、事実上、リーマン・ショックがあった2008年以来8年ぶりの減産となる。原油価格が足元で停滞していることへの危機感が、需給引き締めに向けた結束につながったとみられる。
アルジェリアの首都アルジェで28日に開いた臨時総会で、生産量の引き下げに合意した。11月の定例総会で正式決定し、各国への減産割り当てや開始時期を決める見通しだ。
OPECの産油量を巡っては、原油在庫のだぶつきを受けて生産量の見直しを主張するサウジアラビアなどと、経済制裁の解除を受けて増産を進めているイランが激しく対立。今回の会合でも減産での合意は難しいとみられていた。
だが国際エネルギー機関(IEA)が先ごろまとめた石油市場に関するリポートで、在庫過剰感が想定より強いことが分かり、油価上昇の動きに歯止めがかかったことで流れが変わった。原油輸出に歳入の大半を頼るサウジなどで財政悪化懸念が強まり、イランに一定の譲歩をすることで決着を急いだもようだ。
減産合意を受けて原油相場は一時急上昇したが、市場には「減産の割り当てが難航する可能性がある」(アナリスト)と実効性を疑問視する声がある。油価上昇が進めば、採算悪化で操業を停止していた北米のシェールオイル生産者が息を吹き返し、供給過剰に逆戻りする可能性もある。
石油連盟の木村康会長(JXホールディングス会長)は29日、OPECの減産決定について「米国などの生産動向も踏まえて、実際に需給バランスが早期に適正化されるかを見極める必要がある」との談話を発表した。減産割り当ての協議が不調に終わったり、シェールオイルの増産で需給調整が遅れたりした場合、失望売りによる油価急落は避けられそうにない。
(2016/9/30 05:00)