[ 政治・経済 ]

産総研、日本の知見生かしたロボット用AI開発−専用スパコン導入

(2016/12/7 05:00)

産業技術総合研究所は、製造業や健康・医療など日本の現場の知見を生かした人工知能(AI)を開発する環境を整備する。産総研の施設内に組み立てやピッキング、手術用のロボットを導入し、実際に動かして得たデータをAIの学習に使う。データは産総研の施設内に新設するAI専用コンピューターで保存と解析をする。これにより、製造ノウハウなど重要データが他社に流出する懸念を持つ企業も参画しやすい開発環境を提供する。

組み立て・ピッキング・手術用など

産総研臨海副都心センター(東京都江東区)に工業製品の組み立て、倉庫のピッキング、ヒューマノイド(ヒト型ロボット)など分野ごとに5―10台のロボットを導入する方針だ。IoT(モノのインターネット)の広がりを見据え、異なるメーカーの製品同士を連動させる。

東京大学柏キャンパス(千葉県柏市)内にも研究棟を建設し、手術用ロボットハンドや健康・医療用ウエアラブル端末などの駆動制御やセンシング用のAI開発拠点とする。

千葉大学や農業・食品産業技術総合研究機構などとも連携。植物の生育状況に応じて適切な栄養や水分を供給するなど「スマート農業」にAIを活用する。

  • 産総研臨海副都心センター

用途ごとに「学習済みモデル」

各分野で現場の知見を持つ企業の協力を得ながら、これらの施設で大量のデータを集める。データは産総研が開発中のAIに取り込み、より賢くした「学習済みモデル」を用途ごとに開発するのが最終的な狙い。

学習済みモデルの開発には膨大な計算能力が必要。そのためAI専用スーパーコンピューターを柏市の拠点に導入する。企業が自社工場で集めたデータをAIの学習に使う際にも、このスパコンの計算能力をクラウドサービスとして提供する。

グーグルなど米IT企業は自社でAI専用のスパコンを保有するが、多くの日本の企業にはそこまでの投資余力がない。また産総研という公的機関がデータも管理することで、データを他社に預けることへの不安を和らげる。

(2016/12/7 05:00)

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