[ 科学技術・大学 ]

研究所探訪(11)クラボウ技術研究所−材料として「衣」の可能性追究

(2016/12/13 05:00)

  • ロボットアームの開発

先進技術センター(大阪府寝屋川市)が2016年2月に完成したクラボウ。その中に技術研究所がある。繊維加工実験室では、セルロースに電子線を当てる実験を行う。同センターには数理や情報、機械、制御、化学、バイオといった基盤技術グループ群があるが、クラボウの祖業である「繊維」の名はない。技術研究所の八木克真所長は「セルロースを“繊維”ではなく“材料”と捉えているからだ」と理由を語る。

クラボウは中期経営計画で「ライフサイエンス」「ケミカルエンジニアリング」「ロボットビジョン」「高機能複合材」の事業開発活動の推進を掲げる。同センターではこれら4領域の応用開発プロジェクトチームに、基盤技術グループの研究員を組み合わせ、タコつぼ型の研究にならないように心がける。

応用開発プロジェクトで各専門技術のアウトプットをしながら、他分野の研究員と技術交流することで基盤技術に反映する。

例えばロボットビジョンプロジェクトでは数理や情報、機械、制御の各担当が集結する。ロボットが柔らかい物体をつかむ実験などを通し、ロボット向けビジョンセンシング事業の創出と関連する基盤技術の向上を目指す。

また、基盤技術の応用展開も図っている。画像処理やソフトウエアを扱い、応用開発プロジェクト全4分野と連携する「情報」は、12月から人工知能(AI)やディープラーニング(深層学習)、ビッグデータ(大量データ)などの研究開発を本格化する。IoT(モノのインターネット)に関しても、徳島工場(徳島県阿南市)のバイオマス発電所のデータを集積し、システムの改良に役立てる。

八木所長は「AIの利用技術を高めていき、それぞれのデータに合ったAIを作り上げたい」と話す。

同センターで得られた知見は繊維事業にも生かす。基盤技術群には独立した繊維グループはないが、いったん繊維を材料として見直した位置から「衣」を追究し、さまざまな角度から「衣」の可能性を広げていく。

(大阪・日下宗大)

▽所在地=大阪府寝屋川市下木田町14の30▽電話=072・823・8800▽主要研究テーマ=コンピューターシミュレーション、画像処理・ソフトウエア、メカトロニクス・制御、センシング・ハードウエア、材料化学、生化学▽研究者数=約100人

(2016/12/13 05:00)

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