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[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/25 05:00)
【名古屋】藤田保健衛生大学の岩田仲生教授らは、脂質代謝に影響する遺伝子「FADS遺伝子」がそううつ病(双極性障害)発症に関連すると明らかにした。日本人が対象の大規模な全遺伝情報(ゲノム)解析により、この遺伝子中の特定配列(SNP)を持つ人は持たない人に比べ、そううつ病に1・18倍かかりやすいという。そううつ病と脂質代謝異常の遺伝的リスクは共通する可能性があり、予防・治療法や新薬開発につながると期待される。
藤田保健衛生大や理化学研究所、東京大学、大阪大学など全国32の大学・施設・研究チームによる共同研究。日本人サンプルでは最大規模となるそううつ病患者約3000人と、そううつ病でない約6万2000人を対象に、ゲノム解析を行った。成果は24日の国際科学誌「モレキュラー・サイキアトリー」電子版に掲載された。
FADS遺伝子は11番染色体にあり、コレステロールや不飽和脂肪酸の代謝と関係する。コレステロールや中性脂肪、魚などに含まれるオメガ3不飽和脂肪酸、ベニバナ油などに含まれるオメガ6不飽和脂肪酸など、脂質の血中濃度と強く関連すると知られる。
仮に脂質代謝異常がそううつ病の原因となっていることが分かれば、食事療法などを通じて発症を予防することも可能となる。
また、白色人種が対象のそううつ病に関する研究でも、疾患発症に関わる可能性がある遺伝子が見つかっている。この研究と今回の研究の結果を分析したところ、FADS遺伝子とは別に、そううつ病発症に関わる可能性を持つ遺伝子が新たに一つ見つかった。さらに三つの遺伝子が発症に関わる可能性があることを強く示唆する結果も得られた。
そううつ病はそう状態とうつ状態を繰り返す一般的な精神疾患。遺伝的要因が関与するとみられるが、原因は解明されていない。
(2017/1/25 05:00)
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