[ 機械 ]

第47回機械工業デザイン賞(11)日本ロボット工業会賞−日本電産シンポ

(2017/8/18 05:00)

  • 無人搬送台車と(左から)開発を担当した赤松氏、則座真史氏と井上取締役専務執行役員

【次世代無人搬送台車 S―CART】

生産ライン向けにロボットの活用が広がっている。だが意外にも、そのラインに部品などを搬送する工程ではまだまだ人の手に頼っているのが実情だ。その市場を狙うのが日本電産シンポの無人搬送台車(AGV)「S―CART」。床に磁気テープを貼る必要がない「ガイドレス走行」という機能性と、車高を低く抑えたデザイン性を両立した。

ガイドレス走行を実現するのは、周囲にレーザーを照射して自己位置を推定するSLAM技術。走行ルートを柔軟に変更できるので現場の負担軽減に大いにつながっている。

もともと同社は車輪、減速機、モーター、コントローラー、センサーなどをセットにしたAGV製作用ユニットを提供してきた。その技術を生かし、AGVそのものに参入した格好だ。

開発の壁は、全体の構造設計だった。制御技術の蓄積は豊富にあるものの、筐体(きょうたい)の中にいかに部品を効率良く配置するかという点は手探り。車高を低くして全体容積も小さくしつつ、可能な限り大型のリチウムイオン二次電池を搭載するなど、ハードルは高かった。

そこで手を借りたのが、同社の中でも比較的デザイン性が重視される計測機器の部門。CADの扱いに慣れた技術者を巻き込み、一緒に開発を進めた。赤松政弘開発第二部長は「小型の計測機器とはかなり違いがある。時間をかけて試行錯誤した」と振り返る。

こうして連続8時間という長時間走行や、周囲270度という広角のレーザー照射を実現。さらにサスペンション機構により車輪の駆動力を高め、重量物への対応も強化した。

機能面以外に苦心したのが、丸みのある外観。井上仁取締役専務執行役員は「物流現場は人と一緒に仕事するのが前提。威圧感を与えてはいけない」と話す。工場以外にも利用が広がり、外観も大きな要素となっている。

日本電産はグループ全体で生産性向上を推進するが、中でもAGVは中核的な存在。働く人の愛らしいパートナーが生まれつつある。(京都・園尾雅之)

(2017/8/18 05:00)

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