[ オピニオン ]

社説/サイバー戦争 民間企業も意識改革が必要

(2019/1/22 05:00)

中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)など中国を代表するハイテク企業製品使用を、米国が禁止する動きが強まっている。日本政府も安全保障上の懸念を理由に、第5世代通信(5G)をはじめとする情報通信網で同国機器を使用しないよう、携帯電話各社に呼びかけた。個人のスマートフォンや自動運転の車から新幹線、金融、電力まですべてがつながるIoT(モノのインターネット)。生活が便利になる一方でサイバー攻撃を受けたりする危険度も増す。民間企業も今後は低コスト追求一辺倒でなく、機密安全対策が不可欠だ。

政府が閣議決定した新防衛大綱と中期防衛力整備計画(2019―23年度)は、中国の軍事力増強の指摘と並んでサイバーや宇宙、電磁波など新領域の防衛力を強化する必要を訴えた。18年12月6日に起きたソフトバンクの通信障害。北海道の台風における、大規模長期停電。日常的に使っているインフラが、いかに外部要因に弱いかを如実に示した。自然災害やエリクソンの通信機器が原因だったが、悪意のあるネット攻撃で損失を被る危険性もはらんでいる。

ICTシステムへの依存度が高まれば高まるほど、サイバー攻撃の被害は深刻さを増す。新幹線や電力、空港などの重要インフラ施設をまひさせれば、日本の経済活動はお手上げだ。気がつかぬうちに相手の行動計画や戦闘機図面、性能データなどを盗み取り、コピー製品を作ったり、虚偽情報を流して相手の警備体制をかく乱するなどの破壊活動が、世界のあちこちで行われている。大陸間弾道ミサイルを迎撃する「イージス・アショア」も、IT機器がまひしたら張り子の虎になる。

通信網の安全対策を抜きに、国の安全は守れない。防衛省の防衛大綱が想定するサイバー防衛はあくまで同省や自衛隊のインフラで、民間企業や交通網、金融のシステムを一緒に守るのは不可能だ。欧州など他の海外諸国も安全保障懸念がある外国機器調達を制限する動きが強まっている。日本の民間企業も意識改革が求められる。

(2019/1/22 05:00)

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