産業春秋/未踏に挑む人材育成

(2021/10/18 05:00)

 日本の新型コロナ関連論文の出版数は世界16位(10月1日現在)と聞いて衝撃を受けた。得意分野でないとはいえ、世界の注目度はおろか、危機対応でも心もとない。首位の米国と2位の中国はケタ違いの本数だ。

 「大学は競争過多のため予算が取りやすい短期的な研究に流れがち。野心的なテーマを構想する力が弱くなっている」と危惧する研究者は多い。修士から博士課程へ進む理系人材は1割程度に減った。

 米プリンストン大学上級研究員で気象学者の真鍋淑郎さんが、ノーベル物理学賞受賞決定後の会見で語った「米国は自分のやりたい研究を好きなようにやれる」という発言は、日本の研究環境の息苦しさの裏返しに聞こえた。

 真鍋さんは「好奇心に駆られた研究が以前よりますます少なくなっている」と、日本の課題を鋭く指摘した。研究者が好奇心を持続できる環境が不十分では、頭脳流出はやまず、科学技術立国の将来は危うい。

 今年は日本人初の受賞者、湯川秀樹の没後40年。博士は多くの優秀な物理学者を育て、生物学や天文学などとの境界で新しい芽が出ると「大事だからやってみたら」と学生らの背中を押した。未踏に挑める研究環境の整備が急がれる。

(2021/10/18 05:00)

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