機械工業デザイン賞

 機械工業デザイン賞は日刊工業新聞社が経済産業省の後援、日本商工会議所、各工業団体の協賛を得て、わが国工業製品のデザインの振興・発展を目的に1970年、日刊工業新聞創刊55周年を記念して創設したものです。今年で40回目を迎え、この間に受賞した多くの製品は、それぞれの時代のデザインの方向性を示唆する先端的製品として高く評価されてきました。

機械工業デザイン賞 シンボルロゴマーク 21世紀を迎えた今日、企業を取り巻く環境は激変していますが、このような状況の中、産業界においても新製品開発の上からデザインが果たす役割は非常に重要で、ビジネス戦略を大きく左右するものとしてクローズアップされています。そしてユーザーとの調和を保ちつつ、商品の独創性を確立することが不可欠な要素となっています。デザインは外観、機能、性能、安全、色彩などのトータルバランスを基本とし、これらの条件が満たされることが必要です。そして今やデザインは、単に産業技術の中だけでなく、広く生活と産業界とのインターフェースとして位置づけられ、経済・文化の融合により、新たな社会的価値を創造しているのです。

 「機械工業デザイン賞」の審査は、主として生産財を対象としており、審査委員会は関係省庁、大学、各工業団体の権威者で構成されています。審査は、製品の品質や安全性に力点が置かれていますが、合わせて性能向上や産業振興のために、新しい時代のデザインの在りようを明らかにしていくことを目的としています。現場に赴いて製品の検証を行うほか、経済性、市場性などあらゆる角度から総合的に評価、選定されますが、人間工学的な面からの安全性や環境、福祉への対応も追求しています。近年は審査の範囲が生産財から医療機器、輸送機器、福祉機器などへと広がりを見せており、さらに外国製品にも門戸を開いて国際色も強めています。

 このように、時代を先取りする「機械工業デザイン賞」の趣旨をご理解いただき、独創的で優れた製品をご応募下さるようお願いいたします。

第40回 機械工業デザイン賞 受賞製品

製品名
企業名
最優秀賞・
経済産業大臣賞
デジタル超音波診断装置 HI VISION Preirus 株式会社 日立メディコ
最優秀賞・
経済産業大臣賞
三菱汎用シーケンサ MELSEC-Lシリーズ 三菱電機株式会社
日本力(にっぽんぶらんど)賞 クローラクレーン 6000SLX 日立住友重機械建機クレーン株式会社
日本力(にっぽんぶらんど)賞 ゲンコツ・ロボット シリーズ ファナック株式会社
40回記念賞 ゴム射出成形機
STI-2.0-220VR-Z
三友工業株式会社
40回記念賞 5軸マシニングセンタ DMU 80P duoBLOCK 株式会社 森精機製作所
40回記念賞 5軸マシニングセンタ HYPER VARIAXIS 630 ヤマザキマザック株式会社
日本商工会議所
会頭賞
同時5軸制御ベッドレスマシニングセンタ NJ35-5AX ホーコス株式会社
日本商工会議所
会頭賞
全自動CNC小径工具研削盤 TGX-mev 株式会社 和井田製作所
日本産業機械工業会賞 原子吸光分光光度計 AA-7000シリーズ 株式会社 島津製作所
日本工作機械工業会賞 超硬加工用ワイヤ放電加工機
UPV-3/UPV-5
株式会社 牧野フライス製作所
日本電機工業会賞 エコパワーメータ
KW1Mシリーズ
パナソニック電工株式会社
日本ロボット工業会賞 検体前処理モジュールシステム LabFLEX3500 アロカ株式会社
日本産業デザイン振興会賞 エコトラ EG400シリーズ ヤンマー株式会社
審査委員会特別賞 門形ターニングセンタ
VTR-Aシリーズ
オークマ株式会社
審査委員会特別賞 高性能プラズマ切断機 TFPL1082-Twister Blade コマツ産機株式会社
審査委員会特別賞 薬剤ピッキングサポートシステム
Tablet Picker
セイコーインスツル株式会社
審査委員会特別賞 門形複合加工機
MP-2620(U)
東芝機械マシナリー株式会社

(各賞とも社名五十音順)

審査概評

専門審査委員代表 千葉大学大学院教授
青木 弘行

■ 独自のバランス解を創出

 生産財の根底には産業基盤を支える熱意ある開発姿勢と確かな技術開発力が脈々と息づいており、わが国産業界の優位性や独自性を世界に誇示し得る。「機械工業デザイン賞」は今年で40回という節目を迎えた。工作機械、土木建設機械、ロボット、測定機器、医療・福祉機器など多岐にわたる34社39件の応募を書類選考後、現物審査し、総合審査委員会で慎重に審議して受賞製品18点を決定した。いずれも独創的な成果が前面に打ち出されており、質の高い年であった。

 最優秀賞の「経済産業大臣賞」の2製品は共に開発の初期段階からデザイン部門と技術部門が協調作業を展開し、デザインによる企業独自のバランス解を創出している。「企画力・社会性」「機能・性能」「操作・安全性」「造形処理」の審査基準のいずれも高い評価だった。次世代におけるデザインのありようを示唆した内容は本賞の趣旨に合致している。「日本力賞」の2製品はトータルバランス性能の実現や機能特性を生かした新領域の開拓という意味において日本のモノづくり力を世界に向けて発信している。

 本賞の創設40周年を記念する「40回記念賞」の3製品は実現された機能内容が優れた造形処理に結実しており、本賞を象徴するにふさわしい仕上がりだった。中堅・中小企業の優れた製品に贈られる「日本商工会議所会頭賞」の2製品は独自の技術力に裏打ちされており、デザインのありように大きな期待を寄せることができる。

 各団体賞を受賞した5製品は次世代につながるイノベーションを実現しており、新たな価値創出という観点から高く評価した。将来性が期待される製品などに贈られる「審査委員会特別賞」には4製品を選んだ。受賞した18製品はいずれも甲乙つけ難く、各賞の選定に際してはわずかな差であったことを申し添えたい。

 現物審査ではモノづくりに懸ける並々ならぬ情熱を肌で感じ取ることができ、デザイン振興を目的にした本顕彰制度の社会的意義を再確認する格好の機会でもあった。最新の成果を詳細にうかがう機会は、産業界の動向を広く横断的に教示していただく貴重なステージでもある。最後に現物審査に立ち会われた関係各位に対して感謝の念とともに、専門審査委員を代表して深く敬意を表したい。

審査委員

  • (順不同・敬称略)
  • 経済産業省製造産業局デザイン・人間生活システム政策室長  廣瀬 毅
  • 特許庁審査業務部意匠課長  川崎 芳孝
  • 文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課長  川端 和明
  • 日本商工会議所専務理事  中村 利雄
  • 千葉大学大学院教授  青木 弘行
  • 元電子技術総合研究所所長  富山朔太郎
  • 日本工業大学教授  松野 建一
  • 東京芸術大学教授  尾登 誠一
  • 慶應義塾大学大学院教授  松岡 由幸
  • 日本産業機械工業会専務理事  中澤 佐市
  • 日本工作機械工業会専務理事  庄野 敏臣
  • 日本電機工業会専務理事  早野 敏美
  • 日本ロボット工業会専務理事  冨士原 寛
  • 日本産業デザイン振興会常務理事  阿部 雅栄
  • 日刊工業新聞社社長  (委員長)千野 俊猛
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