技能のツボ

(46)歯車研磨−菊地歯車

ゆがみをどの程度調整するか、この微妙な感覚が職人ワザ

ゆがみをどの程度調整するか、この微妙な感覚が
職人ワザ

 自動車や建設機械、航空機などの動力源に欠くことのできない歯車。菊地歯車(栃木県足利市、菊地義典社長、00284・71・4315)は、年間5500種類という多品種少量の歯車を手がけている。この中で第二工場は約100種類の歯車を研磨する。研磨工程ではまず熱処理で発生したゆがみを修正するため、歯車の中心と回転軸の中心が合うようしん出しする。中心がずれたまま研磨すると、後工程で大きな不具合を起こし、「自動車に組み込まれた時に、振動の発生につながる恐れもある」(菊地社長)。
 ゆがみはテストインジケーターと呼ぶ計測器で測定。公差は3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)に抑える必要がある。どこがゆがみ、どの程度の調整が必要か。この微妙な感覚は職人でないとつかめないという。
 菊地社長は「量産品ならマニュアル作成で対応できるが、多品種の歯車を正確にしん出しするには経験を積むしかない」と説明する。新人は1個15分ほどかかるが、ベテランになれば早い時で2―3秒だという。「習うより慣れろ」。知識でなく、経験が物を言う。
 同社では2009年に3カ年の中期経営計画を策定し、この中で技能伝承を一つのテーマに設定した。各工程で技能者が若手をスペシャリストに養成するもの。研磨でも、特級技能士が1対1で“次代の研磨屋”の育成に取り組んでいる。

3月25日(木曜日)付 日刊工業新聞 5面から

【連載企画】 技能のツボ


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