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【熊本地震】中小、復旧急ぐ−再稼働へ点検・修理に奔走、大分企業も支援に

(2016/4/20 05:00)

  • 熊本市内での変圧器の復旧作業(九州電力提供)

熊本、大分の両県では被災企業が19日も復旧を急いだ。同じ県内でも早期に営業を再開した企業もあれば、復旧に時間がかかりそうな企業もある。また被害が軽微な大分県の企業の中には復旧支援の準備を整える動きが出始めた。(熊本支局長・勝谷聡、大分支局長・広木竜彦)

熊本市内に主要生産拠点がある生産設備メーカーの平田機工は工場内の壁や天井の一部がはがれ落ち、部品加工機械の一部で調整作業が必要になった。しかし生産への影響は軽微。ただ今後は交通網の分断による影響が出てくる可能性が否定できないという。

メッキ加工のオジックテクノロジーズ(熊本市西区)は「毎朝、社長が社員を励まし、勇気づけながら復旧を急いでいる」。アルマイトメッキラインなどは早ければ2、3日、他のメッキラインもおおむね1週間以内の復旧を見込んでいる。

熊本県南部の人吉市は大きな被害はなかったが、物流の停滞の影響が出ている。球磨焼酎メーカーの高橋酒造は太良木町と人吉市の両工場とも設備の被害はなかった。高橋昌也専務は「商品の出荷は東京や関西、東北エリアは共同配送センターなどから配送しており問題ない。ただ九州から中四国エリアには配送の日程が通常より数日遅れるなど影響が出ている」という。

電気部品製造の人吉アサノ電機の浦川敬取締役は「被害はほとんどなかった。18日は午前中に設備をチェックし、午後から稼働を始めた。道路事情が悪化しており、材料などの調達が心配」と話す。

大分県では由布市や別府市の製菓・製パン事業者や食品メーカーなどで設備の位置がずれるなどしたが、製造業全体では被害は限定的で生産に支障はなかった企業が多い。

製菓・製パンなど食品機械などを製造する大倉菓機(大分県別府市)は別府市近郊の製菓・製パン、食品メーカーからの依頼で点検・修理に奔走。これまでに別府市近郊の地震対応は、ほぼ終了した。

熊本県の大手化学メーカーなど向けのサービスを準備し始めたのは八光産業(大分県中津市)。高耐食性がある金属表面改質材を施した機器を製造する。同社は東日本大震災後、東北の化学メーカーなどの依頼で薬品タンクの点検修理を手がけた経験がある。今回も「サービス担当者を出張させる体制は整えている」。

徳器技研工業(大分県宇佐市)は気管内たん吸引器のメーカー。日本ALS協会(東京都千代田区)などから筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者が使える足踏み式たん吸引器などへの問い合わせがきている。足踏み式たん吸引器は電源が不要で、東日本大震災では患者から必要とされた。「今後要請に応じた供給体制を整えたい」(同)としている。

(2016/4/20 05:00)

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