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(2016/4/26 05:00)
政府は25日、熊本地震の激甚災害への指定を閣議決定した。5月の連休明けには被災者支援とインフラ復旧に向けた2016年度補整予算案も国会に提出。被災自治体の財政に配慮しつつ、復旧・復興事業を加速する。一方、熊本地震の発生や衆院北海道5区補選の結果なども踏まえ、安倍晋三首相は衆院解散を見送る見込みとなったほか、17年度の消費増税も延期する可能性が高まった。「解散なき増税延期」となるか、政権は重大な決断を迫られる。(編集委員・神崎正樹)
政府は熊本地震を激甚災害に指定し、被災地の復旧事業に対する国費負担を引き上げた。被災自治体の財政負担を軽減しつつ、数千億円規模の16年度補正予算を編成し、住宅確保や生活再建支援金の支給といった被災者支援やインフラ復旧を急ぐ。5月末に開く伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)までに成立を目指す。
【同日選見送りへ】
一方、安倍首相が視野に入れていた衆参同日選は見送られる見通しが強まった。被災自治体への選挙の負担回避や、追加の財政支出を伴う衆院選に対する自民党内の慎重論、さらに週末に投開票された衆院北海道5区補選での与野党接戦なども影響したとみられる。 当面の経済財政上の焦点は消費増税延期論の行方だ。首相は当初、増税延期を”大義“に衆院解散を視野に入れていたとされる。だが増税延期の是非は衆院解散とは切り離して判断し、被災地の復旧や回復力の弱い日本経済の浮揚を優先して増税を延期するかが伊勢志摩サミット前後の最大の焦点となった。
【GDP回復鈍く】
首相は内閣府が5月18日発表の1―3月期の国内総生産(GDP)速報値を消費増税延期をめぐる判断材料の一つとしている。日本経済研究センターが熊本地震前に行った調査では、主要シンクタンクは年率換算の前期比で0・25%増の低成長を予測。「うるう年でなければマイナス成長」との見方も多い。
15年10―12月期のマイナス成長からの回復力は鈍く、熊本地震が日本経済に及ぼす影響も現時点で政府は見通せていない。
【2次補正も視野】
また首相は世界の経済・金融情勢を内外の有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」も増税延期の是非をめぐる判断材料の一つと位置づける。有識者の間では賛否があり、首相がどちらを決断しても整合性を保てるフリー・ハンド(裁量)を得ている。
他方、日銀は27、28の両日に金融政策決定会合を開く。シンクタンクの間では、今回か参院選が実施される7月に追加金融緩和するとの予測が少なくない。
政府は緊急経済対策を盛り込む16年度の第2次補正予算の編成も視野にいれており、増税延期や金融緩和など”政策総動員“で震災からの復旧・復興と景気浮揚に向かうのか。5月にまとめる成長戦略を盛り込む「ニッポン一億総活躍プラン」への十分な踏み込みも含め、政権は経済財政運営で大きな正念場を迎えた。
(2016/4/26 05:00)
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