[ オピニオン ]
(2016/4/28 05:00)
経済産業省の産業構造審議会がまとめた「新産業構造ビジョン」は、6月に政府が改訂する「日本再興戦略」の骨格となるものだ。同省所管以外の分野も多く取り上げている。次期「再興戦略」でこれを具体化し、早期に実現することを望む。
新ビジョンの狙いは「企業の膨大な内部留保を、どう投資に振り向けるか」(経産省幹部)だという。そのために必要な手法や環境整備をまとめた。
産業界の立場で注目すべきはIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、ロボット、人工知能を活用した”第4次産業革命“の推進だ。新ビジョンでは、そのあり方を「ソサエティー5・0」という概念でくくっている。モノづくりに限らず社会全般の大きな変化を見据えており、産業界の要望にも沿うものとして評価したい。
このための施策として、新ビジョンでは実に多くの分野の改革を主張している。技術革新や生産性向上、働き方の改革はもちろん、基礎教育の見直しや大学改革にも言及した。
例えば国際的に電算プログラミングの授業が義務化されていることを受け、日本でも小中学校の教育課程に盛り込むことを求めた。また海外の高度IT人材獲得に向けて、日本版グリーンカード(永住許可証)創設の必要性を訴えている。
大学改革では国際共著論文が新興国ほど伸びていないことを指摘。日本の研究者が国際的なネットワークから孤立していることに懸念を示した。
こうした改革の進め方としては、従来のように必要に応じて支援策や規制改革を検討する方式に代わって「目標逆算ロードマップ方式」を導入するべきだとしている。「2020年に無人自動走行を可能にする」など達成すべき目標と時期を国が主導して定め、各省庁が横断的に施策を展開する。これが実現すれば企業は自社で取り組むテーマが分かりやすくなる。
ただ新ビジョンの段階では、こうした意見はまだ概念にすぎない。政府が改訂版「再興戦略」で政策として取り入れ、具体化することを期待する。
(2016/4/28 05:00)
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