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第46回機械工業デザイン賞/経産大臣賞に堀場製作所と横河電機

(2016/7/15 05:00)

日刊工業新聞社は「第46回機械工業デザイン賞」の入賞19製品を決定した。最優秀賞(経済産業大臣賞)は、堀場製作所の「車載型排ガス計測システム OBS―ONEシリーズ」と、横河電機の「統合生産制御システム CENTUM VP R6」の2点を選定。日本力(にっぽんぶらんど)賞はニチユ三菱フォークリフトの「リーチ型バッテリーフォークリフト プラッター80シリーズ」、日立住友重機械建機クレーンの「テレスコピックブームシリーズ『650TLX』『SDX612』」の2点を選定した。

同賞は機械分野の製品の中で、優れた機能美と性能を併せ持つものを、外部の有識者による審査委員会が選定して表彰する。

贈賞式は28日11時から東京・飯田橋のホテルグランドパレスで行う。 

■栄誉に輝く19製品

《最優秀賞(経済産業大臣賞)》

【堀場製作所/車載型排ガス計測システム OBS―ONEシリーズ

簡単な設置、時間の短縮、コンパクト化を実現したシステムで、5成分排ガス分析計として実路走行における排ガス測定をより容易にした。小型分析計の開発や独自の計測技術を採用し分析計をモジュール化。これにより、必要な時に必要な分析計の搭載を可能にした。接続や操作を全て前面に集約させて車載設置や測定作業の負荷を軽減した。計測装置と試験アプリケーションを統合し、試験前の自己診断/感度校正、品質テストなどをワンパッケージ化。時間と手間が必要だった各国規制対応も後処理演算/解析アプリケーションで簡単に演算/解析可能。シートベルトのみで分析計を座席に固定でき、工具が不要で容易に車載設置作業ができる。

【横河電機/統合生産制御システム CENTUM VP R6】

このシステムはさまざまな信号への対応に向けて、チャンネルごとに機能を選べる入出力モジュールを基本に開発した。それでも対応できない場合を踏まえて、機能拡張のためのアダプター(入出力アダプター)を組み合わせている。安全や信頼性、設置のしやすさなど、顧客の新たなニーズを複合的に取り込むことで、競争力を高めている。

また分散度合いの高い設置条件に対応するために、同システムを構成する要素間の通信接続には自由度を持たせている。マイナス40度Cから70度Cまでの温度変化に加え、高度も3000メートルまで適応可能。顧客の使用環境を考慮し、厳しい条件でも稼働できるようにすることで、導入しやすくした。

《日本力(にっぽんぶらんど)賞》

【ニチユ三菱フォークリフト/リーチ型バッテリーフォークリフト プラッター80シリーズ】

車両全体を低重心化し、走行旋回時の安定性が向上した。滑りやすい路面でも安全走行が可能なアンチスリップ制御を標準装備した。新たにエコスイッチも備え電力消費は従来比15%低減する。現場では前進と後進走行の切り替えが多く斜め左を向く操縦姿勢が最適なため、ハンドル、ディスプレー、レバー類の配置を一から見直した。

【日立住友重機械建機クレーン/テレスコピックブームシリーズ「650TLX」「SDX612」】

ジャッキアップした姿勢でのクレーン性能を持たせることで、ブームを利用してクローラーの着脱作業ができる。これにより分解・組み立てをしやすくした。ここ数年、輸送規制が強化されているのに伴い、ブームの取り外しが求められていることからブームの着脱にも対応した。輸送性も向上し、作業現場での活用につなげる。

《日本商工会議所会頭賞》

【ニイガタマシンテクノ/横形マシニングセンタ HN800−V】

工作機械の精度基準となる案内面に、剛性と減衰性を持ち、加工面品位、工具寿命が勝るとされる「すべり案内」を採用した。すべり案内は姿勢誤差が課題だが、形状をV形にし、移動体重量による予圧で垂直・横方向の接触を保ち、これを抑える。また、早送り速度は毎分50メートル、加速度は0・4G。クラス最高水準の俊敏性だ。

【ヒラカワ/潜熱回収貫流ボイラ ConboGas CG−3000】

工場の生産設備やビルの空調設備などに使われる貫流ボイラ。燃焼熱を最大限吸収できる本体構造の採用などで運転効率102%を達成。ターンダウン比(最低出力と定格出力の比)は小型で最高クラスの10対1を実現した。本体を白色の筐体(きょうたい)で覆ってすっきりさせ、筐体の角に丸みをつけて柔らかいイメージを持たせた。

《日本産業機械工業会賞》

【島津製作所/高速液体クロマトグラフ質量分析計LCMS―8060、ソフトウエアLabSolutions LCMS】

フェムトグラム(フェムトは1000兆分の1)以下の、世界最高レベルの低濃度成分検出が可能。生体試料中の微量成分検出に威力を発揮する。高速正負イオン化切り替えと高速スキャンスピードの能力を持ち、分析時間を短縮できる。ソフトにより分析からリポート出力までの作業を自動化し、ユーザー負担を軽減する。

《日本工作機械工業会賞》

【ヤマザキマザック/5軸制御立形複合加工機VARIAXISi−1050T】

旋削もできる5軸加工マシニングセンター(MC)。加工物上面、側面、任意の角度からの多面・同時5軸加工を実現した。大物部品の加工に対応する大型機だが、作業者に負担を与えない使い勝手の良さにこだわった。作業エリアに大型ステップを標準装備し、作業者とテーブルの距離をより近づけて作業性を向上させた。

《日本電機工業会賞》

【日立製作所/ディスクアレイ/オールフラッシュアレイストレージ装置 HitachiVirtualStoragePlatformミッドレンジファミリー】

ビッグデータの利活用を支援するために開発したミッドレンジ(中容量)のストレージ(外部記憶装置)。仮想化技術を進化させ、新たな二つの機能を搭載。ビジネスの成長やデータ増加に合わせて、無停止で迅速にデータを移行、災害などシステムトラブル時に停止せずにシステムが利用できる。

《日本ロボット工業会賞》

【川崎重工業/双腕スカラロボット duAro(デュアロ)】

過去に類を見ない双腕型の水平多関節(スカラ)ロボット。2本のアームで人手作業を代行できる。周囲に柵を設けず人と協働作業するため、安全性を重視した設計が特徴だ。アーム表面の材質には軟らかな樹脂系の材料を採用。また、人が挟み込まれるリスクを低減するため、曲面を多用したデザインになっている。

《日本デザイン振興会賞》

【コニカミノルタ/光学式プラネタリウム InfiniumΣ(インフィニウムシグマ)】

漆黒の空に輝く星にこだわり、高精細な星像を再現できる32分割投影方式を採用した。これを外観に反映し、恒星を映し出す「恒星球」ユニットを五角形と六角形の32面体で構成する印象的なデザインにした。光源に超高輝度発光ダイオード(LED)を採用し、投影する星像を従来比2・5倍に明るくし、きらめく星空を再現する。

《審査委員会特別賞》

【キヤノン/多目的カメラ ME20F−SH】

肉眼で被写体を識別することが難しい暗闇でも、星の光程度のわずかな光源があればカラーのフルハイビジョン(HD)動画を撮影できる。照度0.0005ルクス以下で撮影でき、自然災害の監視や野生動物の生態撮影など幅広い用途に使える。さまざまな用途に応じて、組み替えられるモジュール設計を採用している。

【庄田鉄工/NCルータ PLANET BLUE SPB5−1326】

粉じんが出て当たり前というNCルータの常識を覆した。主軸に集じん口を設置、カバー内外の気圧差を利用し全体カバーから粉じんが出ないようにした。駆動部を加工エリアから分離して粉じんの影響を低減。人にも地球環境にもやさしい完全ダストフリーを実現した。デザインは製品名から想像できる宇宙に浮かぶ青い地球をイメージ。

【THK/ロボットハンド TRX】

最大で直径150ミリメートルの対象物をつかめる汎用ロボットハンド。内蔵する電動アクチュエーターの力により、3本の指で対象物をつかむ。関節部があるため、指を折り曲げて多様な大きさの対象物に対応できる。ロボットによる仕分け、組み立てなどで利用可能。小型モデルは重量が320グラムと軽量・省スペースなのも特徴だ。

【東芝/自立型水素エネルギー供給システム H2One】

水素を製造して貯蔵し、必要な時に発電して施設に電気と熱を供給できる。水素は太陽光と水から作るので、二酸化炭素(CO2)排出ゼロの“カーボンフリー”のエネルギーを無尽蔵に利用できる。システム全体がコンテナサイズになっており、トレーラーで被災地に運んで非常用電源としても活用できる。

【東芝機械/ダイカストマシン DC350R−EH】

ダイカストマシンの主要構造部を改良し、新しい思想を採り入れた。型締め部はダイプレートなどの基幹構造部品の剛性を向上し、動作の速い電動トグル機構を標準にした。これによりドライサイクルタイムの短縮を図る。さらに離型剤を塗布しやすい構造に見直した。業界では珍しい射出操作側と反操作側に安全カバーを設けた。

【日本オーチス・エレベーター/エレベーター次世代運行管理システム Compass Plus】

エレベーターの運用を効率化する管理システム。事前にエレベーターホールで利用者に目的階情報を登録してもらう。これをもとに各階ごとに最適な号機を割り当てる仕組み。利用者が乗車後に行き先階ボタンを押す作業も不要。エレベーターの停止階数が減り、乗車時間短縮につながる。出勤時間帯の混雑解消などで効果を発揮する。

【牧野フライス製作所/横形マシニングセンタ a120nx】

大型ディーゼルエンジンやロボットのアームなどを効率よく加工できる。エンジンのシリンダーブロックとヘッドを取り付ける面(デッキ面)は、小径フェイスミルで複数回に分けて加工すると段差が生じ、気密性を確保できない。これを大径フェイスミルで一度に仕上げられる。3点支持では世界最大の高剛性ベッドを採用した。

【三菱電機/三菱数値制御装置 M800/M80シリーズ】

処理能力を大幅に高めたコンピューター数値制御(CNC)装置の次世代シリーズ。プログラマブルロジックコントローラー(PLC)処理能力は従来比で60%向上した。マシニングセンター(MC)、旋盤などの生産性改善に寄与する。タッチパネルを採用し、操作性も高めた。産業用ネットワークによる高速通信が可能。

【審査概要/専門審査委員代表(千葉大学名誉教授) 青木弘行】

高度経済成長期の1970年(昭45)、日刊工業新聞創刊55周年記念事業として発足した「機械工業デザイン賞」は、経済産業省・文部科学省・特許庁・日本商工会議所・産業5団体の支援を受け、今年で46回目を迎えることができた。

今回の応募は昨年と比較して若干減少に転じたが、その内容は「工作機械、土木建設機械、環境整備機器、荷役・運搬機械、電気機械、電子機械、金属加工・処理機械、ロボット関連製品、測定機器、自動化機械、光学機械、その他の生産財」と多岐に渡っていた。

応募内容を総括すると、「ハードとソフトの融合」を基盤とした製品が多数を占めた。デザインを狭義ではなく広義に解釈する本顕彰制度の趣旨からすると非常に好ましい状況にあり、過去の受賞製品群と比較してその内容は格段に向上してきている。

多くの時間をかけた現物審査においては、製品開発に取り組む並々ならぬ情熱を肌で感じ取ることができ、デザイン振興を目的とした本顕彰制度の社会的意義を再確認する格好の機会でもあった。

最新の成果が誕生した背景を詳細に伺う機会は、産業界の動向を広く横断的に理解すると同時に、デザイン開発の方向性を議論する貴重なステージであるともいえる。開発担当者や現物審査に立ち会われた関係各位に対する感謝の念とともに、専門審査委員を代表して深く敬意を表したい。

機械工業デザイン賞公式ページ

(2016/7/15 05:00)

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