[ 科学技術・大学 ]

京大、最適なiPS細胞の選択に道-血液細胞への分化能の予測法発見

(2016/7/29 05:00)

京都大学iPS細胞研究所の吉田善紀准教授らの研究グループは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の血液細胞への分化能を予測する方法を発見した。特定の遺伝子の発現量が多いほど、iPS細胞から造血前駆細胞への初期分化能が高かった。造血前駆細胞から血液細胞への成熟能は、DNAの変化に影響を受けていた。臨床応用時に分化成熟能の良好なiPS細胞を選ぶ方法の確立や、高品質なiPS細胞の作製方法の開発につながる。

iPS細胞の分化能は細胞株によって差があるが、原因は特定できていなかった。研究ではiPS細胞から血液細胞を作る過程において、前半のiPS細胞から造血前駆細胞への初期分化能と、後半の造血前駆細胞から血液細胞への成熟能などを解析した。

前半の初期分化ではiPS細胞の「インスリン様成長因子2(IGF2)」遺伝子の発現量が高いと、造血前駆細胞への分化が進みやすかった。後半の成熟分化では、体細胞がiPS細胞へと初期化される時のDNAメチル化量が影響していた。DNAメチル化とは、DNA中のシトシンもしくはアデニンにメチル基が付加されることで、過剰にメチル化が起こると成熟が進みにくくなっていた。これらの要素を調べれば、iPS細胞の分化能を予測できる。

さらに、異常なDNAメチル化が少なければ、血液以外の体細胞からでも、血液細胞によく成熟分化するiPS細胞が作れることも分かった。白血病など正常な血液が採取できない血液疾患の患者にも、iPS細胞を用いた再生医療の可能性が広がる。

(2016/7/29 05:00)

関連リンク

科学技術・大学のニュース一覧

おすすめコンテンツ

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

例題練習で身につく 技術士第二次試験「機械部門」論文の書き方

例題練習で身につく 技術士第二次試験「機械部門」論文の書き方

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいスキンケア化粧品の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいスキンケア化粧品の本

2024年度版 技術士第一次試験「建設部門」専門科目受験必修過去問題集<解答と解説>

2024年度版 技術士第一次試験「建設部門」専門科目受験必修過去問題集<解答と解説>

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン