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【電子版】デジタル編集部から(7)スタートアップ向けの海外進出支援策めじろ押し…締め切り間近ですが

(2016/8/15 05:00)

国内にベンチャーやスタートアップが次々に誕生する中、海外で活躍するところもだいぶ増えてきました。その一方で、これから海外に進出しようとするベンチャーや中小企業に対する支援策もあれこれ講じられてきています。少子高齢化で、新規産業を除き国内の市場が総じて縮小に向かっていくはやむを得ないにしても、海外に目を転じると成長の余地は十分あります。以下に紹介する海外進出関連の支援策やイベントは、応募締め切りが今月中だったりしますので、挑戦するなら手続きはお早めに。

■フランスのインキュベーション施設に1年間滞在

「世界のスタートアップをフランスに」と意気込んでいるのが、フランス政府の進める「フレンチテック・チケット」という誘致策。対象はロボットからIoT(モノのインターネット)、モバイル、クリーンテック、バイオ、ヘルスケア、文化、教育、観光、スポーツなどと幅広い。2017年1月からの1年間、スタートアップ関係者にフランス国内のインキュベーション施設に入居してもらい、実際にビジネスをしながら、メンタリング(指導・助言)やマッチング、ベンチャーキャピタル(VC)への紹介などを通して国際展開をサポートするもの。入居人数は1社当たり2-3人で、1社年間4万5000ユーロを資金援助してくれるそうです。

初回となった前回は世界から722件の応募があり、23件が採択されたものの、日本からの応募はなし。今回は規模を拡大し、パリだけでなくフランス国内41カ所のインキュベーション施設に70社を送り込む予定だそうです。在日フランス大使館ビジネスフランス上席貿易担当官の林薫子さんによると、「フランス語が話せる必要はなく、英語でビジネスできること、それにフランスに住むことになる1年間はスタートアップ専業であることが条件」とか。8月24日が申し込み締め切りです。

■シリコンバレーに続きシンガポール、イスラエルでも

以前からベンチャーや中小企業に対して手厚い海外進出をサポートしてきた日本貿易振興機構(ジェトロ)。その「ジェトロ・イノベーション・プログラム(JIP)」で、今年度はシリコンバレーとシンガポール、それにイスラエルを対象にした支援策を予定しています。必ずしもスタートアップに限っているわけではなく、参加条件は「特許など知的財産を持つこと」(イノベーション促進課)。

うち、シリコンバレー向けの応募は5月に締め切られ、9月12日-14日開催のテッククランチ主催によるスタートアップイベント「ディスラプト SF(サンフランシスコ)」には18社が、翌15日からサンフランシスコおよびシリコンバレーの現地アクセラレーターと提携してジェトロが開催するピッチ(プレゼン)イベント「テックマッチ」には6-7社が参加することになっています。渡航費・滞在費は自己負担ですが、参加費の一部をジェトロが補助し、渡航前の事前研修や現地での専門家による個別メンタリングなどは無料。

さらに、昨年スタートしたシンガポール向けでは「フィンテックフェスティバル」、今年初めて実施するイスラエルでは「サイバーカンファレンス」と、いずれも11月中旬に現地で開催されるイベントに合わせて渡航し、マッチングやプレゼンを行います。両方とも9月には先方からメンター(指導者)を呼んで研修を行い、8月中には募集を締め切るそうです。

■優勝賞金1億円めざし、いざサンフランシスコへ!

「世界最大級のスタートアップイベント」を通して各地に存在する優秀なスタートアップの世界進出を後押しするのが、「スタートアップワールドカップ2017」。シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)で、数々の日本のスタートアップに出資するフェノックスベンチャーキャピタルが主催し、優勝賞金はなんと100万ドル(約1億円)。欧米アジアなどの15会場で各社5分間の英語によるピッチで予選を行ったあと、来年3月24日にサンフランシスコで各地域から選抜された16社が決勝イベントを戦います。審査委員にはクライナー・パーキンス、Yコンビネーターといったシリコンバレーを代表するVC、アクセラレーターがずらり。日本では8月21日に応募が締め切られ、9月21日にアドテック東京と協力して東京・丸の内の東京国際フォーラムで国内予選が開催されます。

■カギとなるのは「表現力」

さて、こうした海外進出向けの研修やピッチイベントは、当然ながら英語で行われますが、実は言葉の習得以上に大事なことがあるようです。6月7日に都内で開催された「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)2016」(TXアントレプレナーパートナーズなど主催)は、2012年に始められ、今回で第5回を数える国内有数の英語でのピッチイベント。今回は、アジアにロシア・豪州も加え14か国・地域から技術系ベンチャー27社が参加し、日本からも4社がエントリーしましたが、残念なことに決勝6チームに日本のチームは一つも残れませんでした。

AEAの共催機関でもある東京大学産学協創推進本部の各務茂夫教授(イノベーション推進部長)は、「必ずしもビジネスモデルが悪いわけではない」といいます。実際、2013年と2015年には日本のスタートアップが優勝しています。では、英語力が足りないのでしょうか? 各務教授によれば、日本のベンチャーに不足しているのは、ビジネスにかける思いやビジョンを語り、VCやビジネスパートナーなどを納得させる「表現力」だといいます。前々回にこの欄で紹介したソフトバンクグループの孫正義社長の域に達するのはほぼ無理かもしれませんが、メンターなどに教わりながら、英語での表現力のスキルも磨いていってほしいです。(デジタル編集部長・藤元正)

(2016/8/15 05:00)

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