[ オピニオン ]

社説/GDPほぼ横ばい−先行き不透明、経済対策の前倒しを

(2016/8/16 05:00)

わが国の景気は踊り場で足踏みを続けていることが明らかになった。内閣府が15日に発表した2016年4―6月期の実質国内総生産(GDP)速報は前期比年率0・2%増と、わずかながらも2四半期連続プラスを記録したものの、ほぼ横ばいだった。うるう年要因で1―3月期のGDPが押し上げられ、4―6月期はその反動でやや低めに算出されたことを考慮しても、横ばいの評価は変わらない。

GDPの約6割を占める個人消費は同0・2%増と底堅い動きをみせた。またマイナス金利に伴う住宅ローン金利低下の影響で住宅投資が増加した。しかし円高に加えて世界経済の不透明感から企業活動は低調で、設備投資が同0・4%減と2四半期連続でマイナスとなったほか輸出も同1・5%減と不調で、GDPの足を引っ張った。

7―9月期は、英国の欧州連合(EU)離脱決定により世界経済の不透明感が増し、経済活動の停滞が予想されることから、GDPも伸び悩みが予想される。このため先に政府が決定した28兆円を超す規模の経済対策をできるところから前倒しして、景気のテコ入れを図ることが肝要だ。

個人消費が低調な理由は、比較的所得水準が低く、将来不安を抱える若年子育て世帯と、退職して安定収入の少ない60代前半の無職世帯の節約志向が大きく影響している。対策としては所得格差の改善や、高齢者向けの就労支援などを進めることが有効だろう。

設備投資は企業収益が過去最高水準にあるにもかかわらず、内外需要の伸び悩みから力強さに欠けるのが実情。ただ企業の収益力、成長力を強化するためにも設備投資は不可欠だ。M&Aや海外投資も含めて、産業界が前向きな姿勢を取り戻すことが望まれる。

企業の設備投資はGDPの押し上げだけでなく、雇用・所得環境の改善にも効果が期待できる。政府としては新規参入やイノベーションを促す規制緩和、投資促進策など、さまざまな形で企業を後押しする施策が求められよう。

(2016/8/16 05:00)

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