[ オピニオン ]

社説/レジリエンス認証−災害以外にも役立つBCP構築を

(2016/8/19 05:00)

企業や団体の事業継続の取り組みを第三者が評価する「国土強靭(きょうじん)化貢献団体認証(レジリエンス認証)」が動きだした。自然災害が頻発する日本では国や自治体が国土強靭化に率先して取り組むのはもちろん、企業の事業継続を後押しすることも重要だ。すそ野を広げるための制度として注目したい。

同認証は、内閣官房の国土強靭化推進室が2月にガイドラインを策定。官民が協力して設立したレジリエンスジャパン推進協議会(東京都渋谷区、三浦惺会長=NTT会長)が認証機関となり、7月末に44社・団体を初めて認証した。

企業や団体には、災害発生後でも事業をストップせずにすむ事業継続計画(BCP)をあらかじめ策定することが求められている。企業存続だけでなく、国土強靭化に資する活動でもある。大企業ではBCPの策定が進んでいるものの、中小企業では優先順位の高い業務だとは認識されていない。

同認証には、こうした企業のモチベーションを上げる効果が期待される。公的機関の“お墨付き”を得ることによって、非常時対応に積極的な企業であることを顧客や取引先にアピールできる。認証を取得すれば専用のロゴマークを名刺や広告に記載可能。また政府や協議会のウェブサイトにも取得団体名が掲出される。

ただ制度は始まったばかりで、認証の知名度が低い。政府は国土強靭化の普及・啓発とともに、同認証の周知に努めてもらいたい。現状では企業にあまりメリットが感じられない点も問題だ。認証を取得すれば公的な補助や低利融資などの優遇策を受けられるようにする仕組みも有効だろう。ぜひ実現してもらいたい。

産業界としては、改めてBCPの重要性を認識する必要がある。“自然災害大国”ともいわれる日本で事業を展開する以上、規模や業種にかかわらず何らかの備えは欠かせない。認証取得をひとつの里程標としてBCPを見直し、自然災害以外の経営環境の変化に役立つ仕組みを構築していくべきだろう。

(2016/8/19 05:00)

総合4のニュース一覧

おすすめコンテンツ

集まれ設計1年生!はじめての締結設計

集まれ設計1年生!はじめての締結設計

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい高速道路の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい高速道路の本

3次元設計手順の課題解決と3DAモデル・DTPDによるものづくり現場活用

3次元設計手順の課題解決と3DAモデル・DTPDによるものづくり現場活用

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン