[ エレクトロニクス ]

キヤノン、イメージセンサーを外販へ−産業向け、用途拡大で方針転換

(2016/10/3 05:00)

  • イメージセンサー生産拠点の一つの川崎事業所

キヤノンは2年内をめどに、カメラ製品の競争力の根幹であるイメージセンサーの外販に乗り出す。これまで同社は技術で差をつけるため、イメージセンサーの基盤技術を外部に出していなかった。ただイメージセンサーの技術進化と産業分野へのカメラ用途の拡大により、外販の条件が少しずつ整ってきた。数年後に産業分野を中心に10―20%のシェアを目指す。同社による外販の開始は、拡大する市場へ大きく影響しそうだ。(梶原洵子)

◇   ◇

デバイス開発本部長の井上俊輔執行役員は「数年前から、超高感度センサーなど外販で価値を発揮できる特殊な技術は出てきていた」と話す。相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーの開発において、フルサイズより小さいサイズ規格「APS―H」で2010年に約1億2000万画素、15年に約2億5000万画素を達成した。肉眼では認識できない遠方の建物や物体も鮮明な画像を得られる。

15年初めには御手洗冨士夫会長が「外で売ることを考えてみてはどうか」と案を示し、プロジェクトは一気に具体化した。折しもカメラ市場が縮小して、自社センサー工場の稼働率低下が課題となっていた。すでに画素の多い多画素センサーは量産準備を完了しており、外販の第1弾として1―2年内をめどに事業化することを目指す。

さらに、このほど外販の核となるグローバルシャッター機能を搭載したセンサーを開発した。光から変換した情報を全画素で同時に読み出すことで、高速に変化する被写体も歪(ゆが)みなく撮影する。同機能は主なターゲット市場となる産業用カメラの必須要件だ。同社は多画素センサーも含めて競合の民生カメラには外販せず、産業分野に訴求する。

他社のグローバルシャッター機能を搭載したセンサーに比べ、キヤノンは映像制作にも使える画質にこだわった。同機能は映像をためるメモリーを大きくするため、画質を左右するフォトダイオードが小さくなる。そこでフォトダイオードとメモリーの配置の最適化や、情報の読み出し方を工夫。半分の大きさのフォトダイオードでも見かけ上、ためられる電荷の量を従来と同じに増やして、きれいな画像を両立した。

第1弾として、17年1月に発売する自社の映像制作機器に同センサーを採用する。外販では「過剰性能にならないタイプも開発する」(井上執行役員)予定だ。

またデバイスを生産する国内3工場のいずれかで、車載製品の生産に必要な規格の取得準備を17年内に整える。「まだ車はチャレンジのレベル」(同)としながらも市場成長の見込みが大きく、より高度なカメラ技術が求められる。成長途上の産業用カメラ市場で、キヤノンがどう存在感を示せるか注目される。

(2016/10/3 05:00)

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