[ オピニオン ]
(2016/10/12 05:00)
2025年の万国博覧会(万博)を大阪に誘致する動きが活発化してきた。低迷する関西経済浮揚の起爆剤となる可能性もあるが、資金負担など問題も山積する。開催の可否は政府と大阪府、関西経済界が一致団結できるかどうかにかかっている。
大阪府は14年に誘致の検討を開始。今年8月に世耕弘成経済産業相に正式に協力を要請した。9月には近畿圏の自治体の集まりである関西広域連合の協力を仰ぎ、開催を訴えた。ただ関西経済界は、費用など具体的な判断材料に乏しいことから慎重姿勢だった。
その後、安倍晋三首相が臨時国会の代表質問で「万博は地域経済の活性化も期待される」と言及。府は首相発言の翌日に基本構想素案を提示し、経済界の費用負担について「(寄付を割り当てる)奉加帳方式ではなく、民間の投資を呼び込むアイデアを募る」ことを明記した。
これらを受けて関西経済同友会の蔭山秀一代表幹事が「話し合える余地が出てきた」と話すなど、経済界も慎重ながらも前向きな姿勢に転じている。
素案によると万博のテーマは「人類の健康・長寿への挑戦」。大阪市此花区の夢洲(ゆめしま)地区約100ヘクタールを会場として25年5―10月に開催する。3000万人以上の来場と約6兆円の経済効果を見込む。ただ実現までには国への構想提出、政府の閣議了承と博覧会国際事務局総会での承認などのハードルがある。
資金負担も難題だ。会場費は1200億―1300億円と試算。過去の万博は国、自治体、経済界が3分の1ずつ負担した。しかし府は財政再建途上にあり、関西経済界も家電の低迷や原子力発電の停止など、けん引役不在の状況が続く。
もちろん万博開催は直接の経済効果だけでなく、跡地を活用した国際会議や展示会(MICE)、統合型リゾート(IR)の誘致など新たな街づくりにつながる。首都圏の経済一極集中を是正する意義は大きい。
関係者が意思を統一できるのであれば、大阪の「やってみなはれ」精神を発揮して挑戦する価値はある。
(2016/10/12 05:00)
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