[ オピニオン ]
(2016/10/24 05:00)
日銀は9月に国債買い入れ額の目標を“めど”として残す一方、長期金利ゼロ%程度を目標に加えた施策を決めた。市中金利への影響をみると、10月の個人向けの住宅ローンでは、ほとんどの銀行が金利を据え置いた。
歴史的な低金利が続く間にと思い、自宅のローンの借り換えを検討した。とはいえ新規のローンに必要な司法書士などの費用は小さくない。提出する書類の準備も大変だ。かといって借り入れ中の銀行に交渉で金利を下げてもらうのは相当にハードルが高い。
そもそも多忙なビジネスマンは、借り換えどころか携帯電話のキャリアを変えるのも面倒に感じるもの。特別優遇ローンや携帯端末の値引きなど、メリットを享受できるのは乗り換えを含む新規顧客だけ。長期ユーザーとしては寂しい思いもある。
新規の顧客獲得には既存客に販売する5倍のコストがかかるという「1対5の法則」。既存顧客の重要性は古くから指摘されているが、営業の最前線では“新規獲得”は甘美な響きを持つ。
ただ、それが需要創出や付加価値向上による獲得ではなく、他社からの乗り換えで、かつ低価格選好の強い新規客であれば、危うさをはらむ。顧客争奪戦の先に、低収益化が待ち受けていないか。
(2016/10/24 05:00)