[ エレクトロニクス ]

展望2017/パナソニック社長・津賀一宏氏「組織能力高め企業を変革」

(2017/1/5 05:00)

2017年の電機業界は人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、自動運転など成長分野に向けた各社の戦略がより明確になりそうだ。すでに16年から半導体、電子部品、車載部品の分野で業種を越えるM&A(合併・買収)が活発化したほか、アジア企業による家電業界の再編も進んだ。17年は米国でトランプ政権が誕生し、国際的な政治、経済の流れも激動する可能性が高い。17年の展望を各社トップに聞く。初回はパナソニックの津賀一宏社長。

◇ ◇

―17年の展望は。

「16年は18年度売上高10兆円の目標撤回や業績見通しの下方修正などがあり、思った通りに見通せない年だった。ただ、今のやり方を大きく変える必要はない。引き続き、将来の方向性を出して、投資を行いながら組織能力を高め、会社を変えていく。17年は重点分野の車載向けで米テスラ・モーターズとの新電池工場が稼働し、17年後半にはインフォテインメント機器の大きな納入が始まる」

―車載向けの18年度以降の伸びしろは。

「現在の売上高1兆3000億円強がさらに伸び、M&Aなど非連続の取り組みも加えて18年度に2兆円にする計画だ。20年に3兆円という数字は考えにくいが、そこに近づくなら電池がリードする形になる。大きな投資が伴うため、個々の車メーカーとどれだけ手を握れるかに尽きる」

―テスラとの供給契約期限は17年。それ以降、住之江、貝塚の国内工場を他社向けの円筒形電池生産に活用する考えはありますか。

「円筒形はコストパフォーマンスが良く、テスラ以外の受注も出てきた。ただ、現在はテスラ新型車『モデル3』の需要に応えるため、新工場の立ち上げで四苦八苦の状態。他社に積極的に売る余裕はない。17年以降の国内2工場の供給先はテスラのモデルSとX向けの需要次第で決まる」

―車載と並ぶ重点分野の住宅と、BツーB(企業向け)システムをどう伸ばしますか。

「国内住宅産業は成熟している。リフォーム、介護、家電と住宅を融合した住空間などの新分野を定義し、いろいろ仕掛ける。東南アジアで広がる住宅需要への対応にもつなげる。BツーBは機器の単品売りでは、すぐにコモディティー(汎用品)化するため、物流・流通、エンターテインメントなどの業界を決めてソリューション型事業を展開する。そのため、社内分社の組織を4月から変更する。BツーBは客先と事業を進めるため、重点業界の売上高や利益が上がるのに最低3―5年はかかるが、20年以降には中核事業になる」

【記者の目/住宅・BツーB、も成長軌道に】

パナソニックは「売り上げ成長による利益創出」という成長軌道に乗り切れず足踏みしている。津賀社長が18年度10兆円の目標に固執せず、利益重視の方針に修正したことは社内外で肯定的に評価されたが、内心は悔しさに燃えているはずだ。17年は津賀社長が仕込んできた車載向け事業が実を結び始める。18年の創業100周年に向け、住宅、BツーBという車載に並ぶ重点分野も成長軌道に乗せることが求められる。(錦織承平)

(2017/1/5 05:00)

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