産業春秋／ヘビメタアイドルに学ぶ

昔懐かしい音楽を耳にすると若いころが思い出され、無性に聴きたくなる。音楽配信なら入手も容易だが、バブル世代としては手元に置かないと安心できず、久々にＣＤショップに行った。

店内を見回すと、「ヘビーメタルの女性ダンスユニット」という『ＢＡＢＹＭＥＴＡＬ』に目がとまった。ジャンルはヘビメタだが、ＣＤはアイドルの棚。しかも相当な規模を占めている。

年若い彼女らの登場は、ヘビメタファンの間で物議を醸したという。ポップな曲をヘビメタ風に歌うのは、アイドルか否か。ただ、このユニットは“メタルの聖地”英国ウェンブリーアリーナで日本人として初めて公演。質の高い演奏技術や歌とダンスで市民権を得た。

アーティストの力量も大したものだが、一般に対極と思われているアイドルとヘビメタを組み合わせた仕掛け人の発想に驚かされる。“ヘビメタは男のモノ”の概念を打ち破り、日本のアイドルが世界基準のヘビメタと融合して、拡散し始めている。

高い技術を持つ日本の中小企業も、新たな発想ができるコーディネーターを得れば、もっと世界で活躍できるかも…。その検証のため、欲しかった懐メロとともに彼女らの最新ＣＤを買い求めて帰宅した。