[ オピニオン ]
(2017/1/24 05:00)
石油資源の安定確保に向け、日本の権益維持・拡大に官民の総力を挙げる必要がある。
大手石油開発会社の国際石油開発帝石(INPEX)がアラブ首長国連邦(UAE)アブダビの海上油田2カ所について保有する権益の期限延長が決まった。当初は2018年3月だった期限が、42年末に延びる。
アブダビ沖合には原油埋蔵量が世界屈指の巨大油田群がある。日本企業としては三井石油開発やJX石油開発なども油田開発や原油の生産に取り組んでおり、日本が自主開発した原油の約4割がこの区域に集中している。だが、その多くはかつて、田中角栄内閣の外交努力が実を結んだ当時に獲得した権益で、18年3月には期限が切れる。これをにらんで欧米の国際石油資本などが、事業参画の機会を狙っている。
今回初めてINPEXの期限延長が決まったことで、ほかの油田でも権益維持に弾みが付くことが期待される。政府はこの間、産業や教育、医療など幅広い分野でアブダビの発展に協力しながら、日本の権益延長を働きかけてきた。欧米の資源メジャーの強大な資金力に対抗するためにも、資源外交の手を緩めてはならない。
ただ、いくら権益を維持できても、油田はいつか底をつく。資源を安定確保するためには、権益を絶えず広げていかなければならない。ところが石油開発会社の多くはこの間の油価低迷を受け、新しい油田・ガス田を探索するための投資を手控えてきた。この状況が続けば、日本の自主開発資源は細る一方だ。
こうした状況を踏まえ、政府は先の臨時国会で石油天然ガス・金属鉱物資源機構法を改正した。日本の資源開発会社が海外の資源会社を買収する際に、同機構も資本参加するなどの協力ができるようになり、権益拡大への頼もしいパートナーになるに違いない。
資源の安定確保は国民生活や産業活動を支える生命線だ。油価が上向いた今、各社にはこの制度も積極的に活用し、新しい権益の獲得に力を入れることが求められる。
(2017/1/24 05:00)
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