[ ICT ]
(2017/3/16 05:00)
三菱電機は鉄道車両にIoT(モノのインターネット)技術を組み込む開発を進めている。カギとなるのは鉄道車両の頭脳とも言われる「車両統合管理装置(TCMS)」。TCMSに車両データを集め、地上の管理システムと連携。車両用電機品の予防保全サービスなどの実現を目指す。鉄道車両のIoT化により、ビジネスの幅が広がりそうだ。(後藤信之)
鉄道車両にはモーターやブレーキ、空調、車内案内モニターなど多様な機器が搭載されている。これらの状態を把握し、適切に制御する役割を担うのがTCMS。運転台などに設置され、運転手とバディを組む。
TCMSを導入するメリットの一つは、効率化を図れる点にある。列車編成全体の機器を統合制御することにより、車両ごとの回生ブレーキの使用を最適化したり、走行位置ごとの最適なスピードを乗務員に示し省エネ運転を支援したりできる。
今後はIoTを活用したTCMSの進化に期待がかかる。同社はTCMSのほか、車両を動かすモーターからブレーキ制御装置、空調機器まで手がける。こうした強みを生かし、IoTを活用した高付加価値サービスの提供を狙う。三菱電機の根来秀人社会システム技術部次長は「当社は車両用電機品を幅広く取り扱っており、優位性を発揮できる」と説明する。
具体的には無線で車両と地上管理システムを連携しリアルタイムに情報をやりとりすることにより、乗務員の支援や電機品の予防保全、消耗品の交換時期の最適化といったサービスの開発を目指す。特に電機品の予防保全サービスについては「多様な機器を手がけているので、部品の劣化状況を総合的に判断できるノウハウがある」(根来次長)としており、実現に自信を示す。
一方で課題もある。「劣化具合の判断はメカニカルな部品では比較的容易だが、電子機器は難しい」(同)と指摘する。正確な予防保全にはビッグデータ(大量データ)の収集が不可欠で、通信システムの進化も不可欠な要素となる。今後は鉄道会社との連携を強化し“IoT列車”の実現を目指す。
(2017/3/16 05:00)
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