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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/23 05:00)
クオルテック(堺市堺区、志方廣一社長、072・226・7175)は、電気分解が起こらない範囲(電位窓)が約3.2ボルトの水溶電解液を開発した。水溶液の電位窓が3ボルトを超えるのは初めてだという。従来、水溶電解液を使う電池は鉛蓄電池の2ボルトが最大だった。より容量の大きく安全な蓄電装置(キャパシター)の開発につながる可能性がある。
研究グループは、過塩素酸ナトリウムの溶解度が大きいことに着目。飽和過塩素酸ナトリウム水溶液(SSPAS)を使い、どの電圧の強さで電気分解が起きるかを調べる「CV測定」を実施した。すると、電位窓が約3・2ボルトと高い分解電位を示した。
スマートフォンやパソコンのバッテリーなどに使うリチウムイオン電池は容量が大きいものの、一般的に電圧の上昇などで高温になると発火する恐れがある。
一方、水溶液は電流が流れやすく、燃えることはない。だが電位窓が狭いため、容量が少ないことが課題だった。
同社の冨安博顧問(東京工業大学名誉教授)は、「スマホや電気自動車(EV)の補助バッテリーなどに活用できる」としている。
成果は英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
(2017/3/23 05:00)