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(2017/4/6 05:00)
日刊工業新聞社は5日、東京・飯田橋のホテルグランドパレスで「第46回日本産業技術大賞」の贈賞式を開いた。最高位の内閣総理大臣賞に輝いた、セイコーエプソンによる「乾式オフィス製紙機『PaperLab』(ペーパーラボ)の開発」をはじめとする3件、計5社を表彰した。
文部科学大臣賞は鹿島とコマツの「建設機械の自動化による次世代の建設生産システム」が受賞。清水建設と東洋アルミニウムの「バイオミメティクス技術を活用したコンクリートの価値向上技術」が審査委員会特別賞を受けた。
贈賞式では原山優子審査委員長(総合科学技術・イノベーション会議議員)が評価ポイントを紹介。「キーワードは融合。技術の先進性や社会貢献の観点などから選んだ」と振り返った。
来賓の水落敏栄文部科学副大臣は「産業技術は世界を変える可能性を秘めている」と祝辞を贈った。
受賞者を代表して碓井稔セイコーエプソン社長は「社会になくてはならない価値を創造していきたい」とあいさつした。
■第46回日本産業技術大賞・喜びの声-「世界変える」期待膨らむ
第46回日本産業技術大賞の祝賀会には受賞者や審査委員、来賓らが多数出席した。スピーチでは、文部科学大臣賞を受賞した鹿島の押味至一社長が「昨年は建築で、今回は土木で表彰いただいた。これを励みに一生懸命やっていきたい」と決意を新たにした。審査委員会特別賞を受けた清水建設の東出公一郎副社長は「若手の自由な発想と異業種の連携を高く評価いただいた」と感謝の意を示した。審査委員を務めた東京理科大学の藤嶋昭学長は乾杯の音頭をとると同時に「世界を変えていただけると期待している」と受賞企業の功績をたたえた。
【セイコーエプソン・碓井稔社長/新しい価値創る】
新しい発想のモノづくりを評価いただき、大変にうれしい。常にこうした技術を生み出していきたい。他人のまねでなく、独創の技術で新しい価値を創ることは、当社の原点だ。本年度、決意を込めて、経営理念に、「なくてはならない会社でありたい」と記した。受賞はとてもいい門出となった。
【鹿島・押味至一社長/地道な取り組み】
土木チームが、あらゆることで人手がかからない仕組みを作ろうと、こつこつと取り組んできた。今回評価いただいたが、開発に携わっている人は幸せだと思う。今後自動化を進める上で、熟練技能者の感覚をどう人工知能(AI)に取り入れるかが重要だ。我々のニーズに合うAIを見つけられれば、次のステップに進める。
【コマツ・岩本祐一常務執行役員/はじまりの一歩】
今回の受賞は建設機械の自動化・省力化につながる第一歩になると期待している。建機の製造において安全性と扱いやすさのバランスを考えることが大変だったが、現場をよく知る鹿島と一緒に開発できたことが大きかった。課題は常にあり終わりはないが、作業効率を上げるなど建機の性能向上につなげていきたい。
【清水建設・東出公一郎副社長/内外にアピール】
異業種連携と口で言うのは簡単だが、なかなか少ない。若手の発想を生かし、企業間の取り組みにより、成果が出たことに意義がある。評価いただいたことに心強く感じる。今後もオープンイノベーションをどんどん取り入れていく。今回の技術は、社内でも知っている人が少ないと思うので社内外にアピールしたい。
【東洋アルミニウム・多田裕志常務執行役員/耐久性高める】
ハスの葉の撥水性をヒントに開発した、ヨーグルトの容器のふたへの付着防止技術を、別の用途へ展開でき評価されたことはうれしい。生物をまねした技術をコンクリートの型枠に使うことで、コンクリートの表面をきれいにできた。今後、型枠の耐久性を高めたい。さらに撥水性に加え、ニーズがある撥油性の用途にも対応したい。
(2017/4/6 05:00)