[ オピニオン ]
(2017/4/19 05:00)
幼い頃、『三匹の子ぶた』の童話を読んで違和感を覚えた記憶がある。ワラでできた家よりも木でできた家が、木の家よりレンガの家の方が正しいというのだ。西洋と違い地震が多い日本では木造では心もとないし、ましてレンガの家は地震で崩れれば一巻の終わりである。
熊本地震から1年が過ぎた。余震が続く中、益城町を訪れた時、目に飛び込んできたのはおびただしいがれきの山。町役場周辺では300棟近い木造建物が倒壊したが、鉄筋コンクリート造りの建物も土台が崩れていた。
避難場所の体育館に避難者がすし詰め状態。蒸し暑かった。目に付いたのは公園や空き地に設置されたテントの多さだ。相次ぐ余震の不安に耐えられないといった声を多く聞いた。
テントは倒れても危険はないし、中は涼しいが風には弱い。四季があり、台風大国でもある地震大国の日本。しかも、近頃は温暖化の影響が激しい。
冒頭の疑問を親に話したら、屁理屈(へりくつ)だと叱られた。エアコンなんてない時代。夏休みに訪れた茅葺(かやぶ)き屋根のじいちゃん家は涼しくて過ごしやすかった。日本オオカミはとうの昔に絶滅したし、『徒然草』にも「家は夏をむねとすべし」とあるじゃないか。「自説」は曲げなかった。
(2017/4/19 05:00)