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[ 科学技術・大学 ]
(2017/4/27 05:00)
理化学研究所の田中拓男主任研究員やレニルクマール・ムダチャディ国際特別研究員らは、ナノスケール(10億分の1)の“座布団”を物質表面に作り、思い通りの色にみせる技術を開発した。アルミニウムの薄膜を樹脂に塗り、数百ナノメートルサイズのアルミの構造体を並べることで、赤から紫までの可視光全域の色を作り出せた。
開発した薄膜は厚さ200ナノメートルと薄く、ペンキに比べ500分の1の重量で済む。光学機器の内壁や、重さが問題となる大型望遠鏡内の黒色塗装などへの応用が期待できる。
ナノ構造体を大量に集積し、光の吸収などの光学特性を人工的に操作した物質は「メタマテリアル」と呼ばれ注目されている。1種類の金属の構造を変えるだけで見た目で多くの色を作りだす研究は珍しい。
研究グループは、開発した技術を利用し、理研のロゴマークを作製した。元の画像とほぼ同様の青と緑で構成されるロゴを再現できた。
さらに赤と緑と青のそれぞれのナノ構造体を空間的に近い場所に置き見た目の色が混ざるようにしたところ、黒く見えることを確認した。
研究の一部は防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」の支援を受けて実施。成果は26日、英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
(2017/4/27 05:00)