[ オピニオン ]
(2017/4/28 05:00)
日本政府は、環太平洋連携協定(TPP)と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の両にらみで通商戦略を立て直す必要がある。
米国のトランプ政権がTPP離脱を表明して以降、日本の通商戦略は暗礁に乗り上げたままだ。ようやく政府内に、米国を除く11カ国でのTPP発効を模索する動きが出てきたことを評価する。知的財産権やサービスなどを含む質の高い貿易協定であるTPPを発効させ、米国の復帰を待つ戦略が望ましい。
一方、日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など16カ国で交渉中のRCEPも重要だ。15分野のうち「経済技術協力」と「中小企業」はこれまでに合意している。
ただ前回の神戸での第17回交渉会合では「物品貿易」「サービス貿易」「投資」「知的財産」など残りの13分野で協議したが、新たに合意に至った分野はなかった。次は5月2日にフィリピンで事務レベル交渉会合が開かれ、協議の進展が注目される。
外務省経済局の飯田圭哉審議官は前回のRCEP交渉会合の閉幕後「引き続き、包括的でバランスの取れた質の高い協定の早期妥結を目指して精力的に交渉を進めていきたい」と述べた。妥結を急ぐ狙いの一つは欧米での保護主義の台頭にくさびを打つことにある。
しかし貿易自由化の水準を巡っては、日本など先進国と中国をはじめとする新興国との間で主張の隔たりが大きく、道のりは険しいと言わざるを得ない。早期妥結のためには、どのあたりに落としどころを見いだすかという議論が避けられない。
その意味でもTPPの発効が重要になる。より優れた内容のTPPを一方に置きつつ、RCEPの質を高めていく交渉は、これまでの日中の主導権争いにも変化を生じさせよう。
米国が参加しないTPPは小規模に留まるが、RCEPが実現すれば人口約34億人、国内総生産(GDP)約20兆ドル、貿易総額10兆ドルを占める広域経済圏が出現する。日本としても積極的に取り組んでほしい。
(2017/4/28 05:00)
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