[ 環境・エネルギー ]

第44回「環境賞」、受賞5件決定 環境大臣賞にエコサイクル

(2017/5/25 05:00)

平成29年度「環境賞」(国立環境研究所・日刊工業新聞社主催、環境省後援)の受賞者が決まった。環境保全や環境の質の向上に関する研究、技術開発などの計43件の応募から「環境大臣賞」「優秀賞」「優良賞」の計5件が選ばれた。本賞は44回目。受賞テーマ(代表者)は次の通り。

【環境大臣賞】

エコサイクル、「バイオ浄化剤による土壌地下水汚染対策技術」

土壌地下水汚染の浄化は掘削除去や揚水処理が主流だが、高コストや長期化が課題だった。揮発性有機化合物(VOC)浄化剤「EDC」により、微生物によるバイオ工法の低コストの利点を生かしつつ、高速分解・高濃度汚染への対応を実現した。掘削除去に比べて3分の1から5分の1以下の低コストで、半年から1年程度の短工期で浄化できる。簡易設備のため中小企業でも採用しやすく、製造工程への影響がない。また短工期のため土地利用計画の時間的制約に対応できる。

VOCのほか、ベンゼン類、シアン化合物やジオキサンなどの各種汚染物質に対応する製品をラインアップ。国内外で計400件以上の採用実績を積み上げている。

【優秀賞】

富士電機、「バチルス菌と磁気分離による排水処理」

食品・飲料分野などの産業排水処理で発生する有機性汚泥の排出をゼロにする「バチルス菌と磁気分離による排水処理技術」(汚泥レス排水処理システム)を開発した。

宇都宮大学の「磁化活性汚泥法」と富士電機の「汚泥分解酵素を多量に分泌する生物処理」(特定バチルス菌+専用活性剤)を組み合わせた。余剰汚泥の処分費用とエネルギー消費を削減し、一酸化二窒素(N2O)などの温室効果ガスの発生も抑制できる。

【優秀賞】

三菱電機、「電磁開閉器のカドミウムフリー化」

電磁開閉器の電気接点には、電流遮断時に発生するアーク放電を遮断する性能に優れた銀酸化カドミウムが用いられてきた。アーク放電を減衰させるアークランナーと呼ばれる部品を改良し、アーク放電減衰能力を従来品に比べて20%以上向上してカドミウムフリー化した。

またアーク放電によるホットガスを排気する独自機構を開発し、冷却能力を同7倍に向上して業界最小クラスの小型化を実現した。

【優良賞】

黄砂ライダーネットワークグループ、「飛来粒子観測網の構築と予測モデルの開発」

大気浮遊粒子状物質を監視するため、東アジアの約20地点にライダー(レーザーレーダー)を設置し、観測網を構築した。可視と赤外の2波長と偏光特性で、非球形粒子の黄砂とほぼ球形の大気汚染粒子のそれぞれの高度分布を計測する。日本に飛来する黄砂や大気汚染粒子を逃さずリアルタイムで監視できる。

また化学輸送モデルによる飛来予測システムも開発した。発生源や発生量の正確な解析につながる。

【優良賞】

柴田科学、「微量PCB含有廃電気機器を現場で無害化する加熱洗浄装置」

変圧器の絶縁油などに用いられていたポリ塩化ビフェニール(PCB)を設置場所で除去できる可搬型の加熱強制循環洗浄装置を、電力中央研究所と共同開発した。

機器の絶縁油を抜き取った後に洗浄油を注油し、加熱しながら循環させて内部部材などに含浸したPCBを洗い出す。大型の汚染機器の解体、運搬時などのPCB拡散を防止できる。現在、全国23カ所での活用が国に申請されている。

(2017/5/25 05:00)

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