[ 科学技術・大学 ]

超小型衛星が拓く・宇宙開発(19)キヤノン電子−上空600kmから地上撮影

(2017/6/23 05:00)

  • 地球観測光学技術実証衛星「CE−SAT−I」(キヤノン電子提供)

キヤノン電子は23日にも、同社初の超小型人工衛星をインド南部のサティシュ・ダワン宇宙センターからインドの「PSLVロケット」で打ち上げる。衛星に積んだ一眼レフカメラで地球周回軌道上から空間解像度1メートル、縦4キロ×横6キロメートルの長方形の写真の撮影を試みる。衛星ビジネス事業化への第一歩として同社の期待は大きい。

打ち上げるのは地球観測光学技術実証衛星「CE―SAT―I」。実は衛星完成までには長い道のりがあった。1999年の社長就任当初から、酒巻久社長は「宇宙事業をやりたい」という夢を持っていた。夢をかなえるため酒巻社長は経営再建に着手。10年後の2009年から社内人材で宇宙事業の基礎研究を始めた。

13年には当時の信州大学准教授で、現在は同社の衛星開発の責任者である酒匂信匡(さこう・のぶただ)衛星システム研究所所長が入社。本格的な衛星開発が始まり15年に試験機を完成させた。

展開前の衛星の大きさは50センチ×50センチ×80センチメートルの直方体で質量は60キログラム。上空600キロメートルの軌道から地上を撮影し性能を検証する。衛星には撮影領域が異なる2種類のキヤノン製カメラを搭載する。

地上の衛星画像は防災や農業などさまざまな分野への利用が期待される。酒匂所長は「実証実験を成功させ、衛星画像や衛星自体の販売につなげる。販売価格を1機あたり10億円以下に抑え、多くのユーザーに衛星を使ってもらいたい」とプロジェクトの成功に期待する。

(冨井哲雄)

(金曜日掲載)

(2017/6/23 05:00)

科学技術・大学のニュース一覧

おすすめコンテンツ

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

モノづくり現場1年生の生産管理はじめてガイド

例題練習で身につく 技術士第二次試験「機械部門」論文の書き方

例題練習で身につく 技術士第二次試験「機械部門」論文の書き方

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいスキンケア化粧品の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいスキンケア化粧品の本

2024年度版 技術士第一次試験「建設部門」専門科目受験必修過去問題集<解答と解説>

2024年度版 技術士第一次試験「建設部門」専門科目受験必修過去問題集<解答と解説>

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン