[ 環境・エネルギー ]

太陽光パネル、両面発電じわり浸透−反射光利用で雪国に最適

(2017/6/29 05:00)

  • 裏面は雪の反射光を受けて発電(東京太陽光建材の両面発電パネル)

表と裏の両面で発電できる太陽光パネルが、少しずつ市場に浸透してきた。両面発電パネル専業の東京太陽光建材(東京都台東区、金香佑典(ゆうすけ)社長、03・5812・8050)は、これまでに50件近く納入した。表面だけで発電する通常のパネルよりも多くの電気を作れるため、発電に不向きとされる雪国に設置できる特徴が評価されている。太陽光パネル世界大手の中国トリナ・ソーラーも日本市場に両面発電パネルを投入しており、今後の普及に期待がかかる。(編集委員・松木喬)

【多く電気生む】

通常のパネルは表面がガラス、裏面は白い樹脂で覆われている。両面発電パネルは裏面もガラス。表、裏のどちらも光を取り込んで発電できる。裏面側の発電効果が加わり、通常のパネルよりも5―20%多く電気を生み出せる。

2010年に設立したベンチャー企業、東京太陽光建材の納入実績の半分は、青森県内の公共施設だ。空に向けた表面は日差しを受けて発電し、裏面は地面からの反射光で発電する。地面が白いほど強い反射光が得られ、裏面の発電量が増す。特に雪が適しており、雪国・青森で採用が広がってきた。

工場の屋根への設置も増えている。設置面積が限られる屋根は、1枚当たりの発電量が多い性能を生かしやすい。また、屋上は遮熱のために白く塗られていることが多く、裏面の発電にも向く。

【自家消費に採用】

発電した電気を売らずに、施設で消費する自家消費型太陽光発電システムに採用されているのも特徴。東京太陽光建材の金香社長は「電気代節約のために太陽光の活用を検討する顧客が増えており、両面発電パネルが受け入れやすくなっている」と分析する。

日本メーカーではパナソニックが、両面発電パネルを製品化している。海外メーカーも本格的に力を入れ始めた。トリナ・ソーラーは開発したばかりの両面発電パネルが、中国で建設される2万キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)に採用された実績を持つ。

【方向・場所選べる】

日本法人のトリナ・ソーラー・ジャパン(東京都港区)営業技術サポート部の高山道寛部長は「方向や場所を柔軟に選べる」と、日本市場でも両面発電パネルの利点を生かせると力説する。垂直に立てても午前は朝日、午後は夕日を受けて発電できるため、フェンス代わりにできる。水面の反射光を利用できる水上太陽光発電所や、メガソーラーからの引き合いもあるという。

再生可能エネルギーで作った電気の固定価格買い取り制度(FIT)では、太陽光の売電価格が下がっている。また、発電に適した土地も減りつつある。両面発電パネルは用途を広げ、需要を維持する商品の一つとなりそうだ。

(2017/6/29 05:00)

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