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中小企業優秀新技術・新製品賞 開発の舞台裏(5)優秀賞−帝国インキ製造

(2017/6/29 05:00)

【高精彩スクリーンインキ】

微細印刷実現 「世界基準」へ

  • 開発メンバー(中央が吉田旦人研究員)

帝国インキ製造(東京都荒川区、澤登信成社長、03・3800・9911)が開発した高精彩スクリーンインキは、スクリーン印刷用インキとして難しかった微細面積の印刷、ベタと細線の同時印刷などを可能とした。飛び散りや擦れを発生させることなく安定し、大量に印刷が可能。100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の細さの基準のところに、30マイクロメートルの印刷ができる。品質はオフセットやインクジェット印刷に匹敵する。

開発担当者の吉田旦人(あさと)研究員が関わることとなったのは、2年前。「社でも力を入れている製品であったため、自主的にプロジェクトに関わり始めた」と吉田研究員は話す。同社の従来スクリーンインキを基に考案された同製品。対象とする顧客も従来のインキの使用者であるからこそ、決して従来品よりも質を下げてはならないという大きなプレッシャーがあった。塗膜の物性を変えず目標としている印刷感を出す。「新製品の方が楽だと感じた」と吉田研究員は話す。

当初は、主に銘板印刷用の「XERスクリーンインキ」のみを予定していたが、射出成形対応の「XIP―HFスクリーンインキ」など、4シリーズ展開に決定。色は黒のみの予定だったが、各シリーズ10―15色の多色展開に。約1年半の開発・販売調整などを経て製品が完成した。

顧客や社内の営業とのコミュニケーションから意見や要望が出ることもあった。微細で安定した印刷が可能なことから、「細かいドットを使用して印刷するCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)による色分解ができるのでは」。顧客から案がでた。これにより、色工程を少なく印刷することが可能となった。

「面白いことに使用者から口コミで製品が他社に紹介されたこともあった」と吉田研究員は言う。会社が目指すのはスクリーン印刷用として当たり前に同社のインキが使用される「世界基準」となること。細さ、滑らかさ、品質の安定化など課題は多い。顧客の要望などを聞きながら、さらなる製品の改良を行う。(大串菜月)

(木曜日に掲載)

(2017/6/29 05:00)

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