[ 機械 ]

MF―Tokyo2017/出展各社、自動化・コスト削減を提案(動画あり)

(2017/7/13 05:00)

12日に始まった塑性加工技術に関する専門展示会「MF―Tokyo2017 第5回プレス・板金・フォーミング展」では、265社・団体がレーザー加工機やサーボプレス機など最先端の機械や技術を披露している。自動化によるコスト削減や加工領域の拡大など、モノづくりの課題解決につながる技術提案に各社が力を入れている。

  • 多くの来場者でにぎわう「MF―Tokyo2017 第5回プレス・板金・フォーミング展」

【山田ドビー/金型の“見える化”披露】

  • 内部が可視化されている30トンプレス機

山田ドビー(愛知県一宮市)は電気自動車(EV)用モーターのモーターコアを製造する30トンプレス機で、金型の“見える化”を披露した。プレス機の金型に取り付けたセンサーで金型内の荷重や温度を測定。デモ加工の数値のリアルタイム変化をモニター表示した。2015年の前回出展から準備し、振動などセンサーへの影響を除外するといった対策を重ねた。異常な数値が出れば対応するなど、予防保全に役立てられる。

さらなる進化も見据えている。今後はプレス機の稼働データをクラウドに収集し、分析する取り組みを始める計画だ。白井国康副社長は「IoT(モノのインターネット)を本格活用する入り口に立った」と意気込む。

【エイチアンドエフ/切断品質・歩留まり向上】

エイチアンドエフはブランキングプレスラインのプレスをレーザー切断装置に置き換えたレーザーブランキングラインを中心に紹介。コイル材を送りながらブランク材を任意の形状に切断しスクラップや再利用材を分離して回収する。プレスや金型が不要で、切断品質や材料歩留まりが向上。検査装置で切断不良を確認できる。高張力鋼板(ハイテン)やアルミ、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など新材料への対応も提案。ハイテン向けでは引っ張り強度が3500トンまで上がっている顧客のニーズに応える。CFRP向けでは鋼板に熱可塑性CFRP製のテープをレーザーで融着し補強するシステムを初披露。既存の鋼板成形ラインに組み込める。

【三菱電機/運用コストを95%削減】

三菱電機はファイバーレーザー加工機による「エア切断」を提案。8キロワットの高出力機種で、切断の際に窒素の供給から圧縮空気の供給に置き換えることでランニングコストを抑えられる。厚さ6ミリメートルの鋼板を加工した場合、ランニングコストを約95%削減できるという。加工品質も保てる。また、新型ファイバーレーザー加工機(写真)に搭載した拡張現実(AR)技術を用い、割り込み加工の際の段取り時間も削減可能と訴求する。

IoT(モノのインターネット)技術を用いて加工機の稼働状況の把握が可能なサービスでは今後、共同出展した村田機械の加工機にも適用を拡大していく。他社製の機器をサービスの対象とするのは初めてだという。

【ファナック/同期旋盤的加工を実演】

  • パイプを切断するファイバーレーザー

ファナックは同社製の工作機械用コンピューター数値制御(CNC)装置で操作できるファイバーレーザー発振器を展示。旋盤の実験機に工具の代わりに出力3キロワットのファイバーレーザーシステムを搭載し、直径32ミリメートルのパイプを毎分120メートルで回転させながら、穴開けや文字を印字する同期旋盤的なレーザー加工を実演した。

同社のCNCを搭載した旋盤やマシニングセンター(MC)などにレーザー機能を複合できる。受注開始は7月末を予定。機種は出力500ワット―6キロワットに応じて7種類。西川祐司ファナック執行役員レーザ研究所長は「旋盤では出力500ワット―1キロワット、MCでは焼き入れなどで同6キロワットのレーザー発信器など用途に応じて活用していただきたい」と品ぞろえにも自信を示した。

【ヤマザキマザック/DDL採用機種が目玉】

  • DDL採用の新機種「OPTIPLEX 3015 DDL」

ヤマザキマザックの目玉機種は、レーザー加工機の次の主役と見込まれるダイレクト・ダイオード・レーザー(DDL)採用の新機種「OPTIPLEX 3015 DDL」だ。高反射材や薄板・中板を高速切断できる利点をアピールするため、デモ加工の様子をインターネットで同時配信している。レーザー加工機は二酸化炭素(CO2)式からファイバー式への移行が進む段階だが、受注状況は順調。営業・サービス子会社のヤマザキマザックシステムセールス(愛知県大口町)の志村雅人常務は「DDL機の第1号顧客はファイバー機の時よりも早く決まった」と関心の高さを説く。購入を決めた顧客が確認に来る予定もあるという。

【アイダエンジニアリング/高速・省スペース化実現】

高速、省スペース、快適操作―。アイダエンジニアリングは、新型サーボプレスに、高速成形対応の材料搬送装置を組み合わせたシステム(写真)を実演する。

搬送装置であるフィーダーの設計を工夫し、省スペース化を図った。円筒状に巻いた鋼板(コイル)を連続的にプレスに送り出すコイルライン長を、従来型に比べて30%短くできる。また、SPM(1分当たりのストローク数)130の高速成形に対応する。さらにフィーダーの設定をプレス側ででできるようにした。

会場での実演は難易度の高いアルミニウムの角絞り成形だ。角絞りは成形時に角が引っ張られるため、亀裂が入りやすい。これをサーボプレス独特の動きで可能にした。

【オリイメック/柔軟な異機種対応PR】

オリイメック(神奈川県伊勢原市)は、プレス機に2軸高速協調サーボロボット「RHQ120=写真」を実装して出展した。プレス機の間の各ロボットを協調制御し、それぞれ最適なタイミングで搬送動作を行う。シンクロ動作で発生する待機時間を削減でき、プレスラインの生産を効率化できる。

前機種では毎分25個の成形品を加工できたが、新型機では1・4倍の同35個にまで生産力を高められる。

プレス機に対する同ロボットの最適な動作タイミングを、簡単な条件設定で自動的に割り出すことができる。

「異なる機種やメーカーのプレス機が混合するラインにも実装できる」(東日本営業部)と柔軟な対応力を強調する。

【しのはらプレスサービス/安全・作業性向上を訴求】

しのはらプレスサービス(千葉県船橋市)は、ガード式安全装置「シャッターガード」を出展。プレス機の作業面に同装置を設置し、作業者が材料をセットして手を戻すだけでガードが閉まり、ガードが閉まるとプレス機が自動で起動してプレスする。起動ボタンを押す作業が不要になり、「安全性を確保しながら作業性を向上できる」(篠原清人常務)。会場では1人の作業者が2台のプレス機を操作する作業を実演(写真)し、生産性の高さを訴求した。またセンサーを活用してプレス機のブレーキ性能を手軽に判定できる測定装置「プレスコープ」や、IoT(モノのインターネット)を活用してプレス機の故障を未然に防ぐシステムなどを初披露した。

→ MF-Tokyo2017特集

(2017/7/13 05:00)

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