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【電子版】デジタル編集部から(56)スマートスピーカー戦争から、「どこでも音声AI」の時代へ

(2017/7/17 05:00)

  • 6月のWWDCで発表されたアップルの「HomePod」。12月に米英豪で、日本では2018年以降の発売予定(ブルームバーグ)

人工知能(AI)ブーム真っただ中の今日この頃。今年から来年にかけては、人間が話しかけるとAIの音声アシスタントが受け答えしてくれたり、音楽を流したり、あるいは家電製品を操作したりするスマートスピーカーが国内で次々に発売され、ホットな話題となりそうです。

国内勢で先行するのがLINE。同社は秋に正式発売を予定しているスマートスピーカーの「WAVE(ウェーブ)」について、機能を絞った体験版の先行予約販売を開始し、今月末に出荷を始める。NTTドコモも対話機器の「ペトコ」を8月に発売する予定。

かたや、米グーグルは「グーグルホーム」の日本での販売を年内に、また6月の世界開発者会議(WWDC)で「ホームポッド」を発表した米アップルは2018年以降、それぞれ日本市場参入を計画しているとのこと。AIの「コルタナ」を持つ米マイクロソフトも、いずれ日本でスマートスピーカーを展開するかもしれません。

そして、何と言っても日本版の登場が待たれているのが、米国で最も売れ筋の「アマゾンエコー」でしょう。近いうちに日本にやってくるのでは、とファンの間では期待が高まっているようです。

例えば、脳科学者の茂木健一郎氏。6月初めに開催されたAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)サミットの基調講演の中で、「アマゾンエコーを日本で早く出してくれないかなあ。そうしたらデイワン(発売1日目)で買う」と断言していました。ちなみに彼が「デイワン」と言っていたのは、アマゾンの企業理念である「Every day is still Day One(毎日が常に挑戦に一歩を踏み出す1日目)」のもじりかと思われます。

そのエコーが米国で一般向けに発売されたのが、約2年前の15年6月(プライム会員向けは14年11月発売)。その後、ホッケーのパックのような形をした「エコー・ドット」や、今年に入ってからは、カメラ付きで、オススメの服装を提案してくれたりビデオ撮影もできる「エコー・ルック」、ビデオ通話にも使える「エコー・ショー」とファミリー製品を次々に発表し、さまざまなユーザーニーズに応えようと選択肢を増やしています。

そして、ここにきてネットメディアで噂されているのがエコー初代モデルの大幅改良。高さ23.5センチ、直径8.4センチメートルの細長い円筒形をした初代モデルの外観は、お世辞にもクールとは言えません。発売から2年以上が過ぎ、ライバルも増えてきたことから全面的なモデルチェンジに踏み切り、クリスマス商戦に向けて秋にも発売される見通しだというのです。もしかすると、そのタイミングで日本版の発売がアナウンスされる可能性もあります。

では、どう改良するのかというと、外観ではもう少し高さを低く、さらにエッジ部分を丸くした上で、プラスチックむき出しではなくファブリックをかぶせ、全体的に柔らかなデザインに変えると言われています。

さらに、これまでツイーターとウーファーが1個ずつだったのを、ツイーターを複数内蔵することで音楽再生時の音響性能を向上させたりもすると。つまりは、アップルのホームポッドが丸みを帯びたデザインをしていて、ツイーターを7個も備え、AIそのものの性能より音の良さをアピールしているのに対抗しようというのかもしれません。

ただ、あるシンクタンクの研究員はエコーについて、その性能の高さを認めつつも、日本市場への投入が遅れているのは日本語対応に手こずっているためではないかとみています。その理由は、「日本でも大量の音声データを収集しているグーグルやアップルに比べて、アマゾンは持っている日本語の音声データの量が少ないため」

一方で、iPhoneにも組み込まれているアップルのAIアシスタントの「シリ(Siri)」は、アマゾンやグーグルのAIより、音声認識などの性能で劣ると言われてきました。米国などで12月発売のホームポッドでは、それが挽回できる水準になっているのかも注目点です。

いずれにしても、スマートスピーカーを提供する側にとっての狙いは、新製品であるスピーカーの販売にとどまりません。声だけで商品やサービスを手軽に購入できる「入り口」を各家庭に設置できることが何より大きい。

加えて部屋やキッチンで一日中、ユーザーの音声データを収集するセンサー機器の役割も果たします。もちろんプライバシーが気になるところですが、そうした宝の山とも言える音声ビッグデータは、マーケティング用途のほか、AIを鍛えるのにも十分役立てられるというわけです。

こうしたスマートスピーカーが「ポストスマートフォン」なのかどうか、正直わかりませんが、スピーカーにとどまらず音声アシスタントの機能は家電製品や自動車、ロボット、設備機器などいろんなモノに今後組み込まれていくことでしょう。キッチン/リビング/プライベート空間争奪のスマートスピーカー戦争は序章に過ぎません。それに続く形で「どこでも音声AI」へのユビキタス化が進み、AIに囲まれて暮らす時代がやって来るのも、そう遠くはなさそうです。

(デジタル編集部・藤元正)

(2017/7/17 05:00)

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