[ その他 ]
(2017/7/27 05:00)
超高真空・低温下で精密測定
【低温分光ナノ構造顕微鏡】
次世代の電子デバイス材料として注目されるカーボンナノチューブやグラフェン。安定した量産に向けて、原子や分子レベルで行う物質の構造解析が不可欠となっている。ユニソク(大阪府枚方市、駿河正次社長、072・858・6456)は、そのニーズに貢献すべく独自の研究装置「低温分光ナノ構造顕微鏡」を開発した。
ユニソクは大学や研究機関向けに走査型プローブ顕微鏡(SPM)を開発、提供する。今回の装置はユニソクのSPM技術に、7年前からグループ関係にある東京インスツルメンツ(TII、東京都江戸川区)が持つ光分光技術を組み合わせた。「2社で最適なシナジーが発揮できた」と両社の経営にかかわる駿河社長は、開発の意義を強調する。
開発の要は、超高真空・低温条件下での「探針増強ラマン散乱(TERS)」と呼ぶ測定法の確立だった。測定対象物の表面をなぞるSPMの探針(プローブ)に光を照射し、そこから出てくるラマン散乱を増強し高感度の検出を実現するものだ。反射率の高い銀を素材にした探針も独自開発し、先端直径は30ナノメートル(ナノは10億分の1)以下に仕上げた。
開発を主導した、光計測・分析に精通する研究開発部の鈴木利明係長は「地道にデータを集め、実験と試作を繰り返した。最終的にナノレベルでの形状観察や元素同定、分子内の結合状態を見ることに成功した」とする。
宮武優取締役SPM事業部長は「開発で理論的な助言をもらう、大学や研究機関のネットワークも生きた」と語る。同装置は中国や欧米など海外の大学・研究機関を中心に十数台を販売し、日本の大学にも導入された。
駿河社長は「新材料の開発に役立つ」同装置の有用性を確信する。一方で「装置の操作が難しい。誰が測定しても同じ結果が出るよう、操作の自動化を目指したい」と語る。「ナノテクの計測と物質分析でナンバーワンの企業」を志す、ユニソクの挑戦は続く。
(大阪・広瀬友彦)
(木曜日に掲載)
(2017/7/27 05:00)
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