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次世代ビジネス・防災/グリコチャネルクリエイト−「置き菓子」を防災備蓄に

(2017/7/31 05:00)

  • スタッフが製品を補充

  • オフィスグリコ事業部の川端部長

「こんな日にオフィスグリコが補充で来てくれてほっとした」―。2011年3月に発生した東日本大震災後に利用者からこんな声が寄せられた。江崎グリコの子会社グリコチャネルクリエイト(大阪市北区)は、オフィスに専用ボックスを置かせてもらい菓子類を販売する置き菓子「オフィスグリコ」を展開する。一部を除き、企業の職場などで気軽につまめる菓子を100円で提供する。この置き菓子が、防災備蓄の役割を担えるとして、注目されている。

【置き薬ヒント】

オフィスグリコは医薬品メーカーが家庭や職場に医薬品を補充する「置き薬」をヒントに、「置き菓子」をビジネス化しようと考えられたものだ。1998年に試験サービスを大阪で開始し、順次内容を充実させ展開地域も拡大していった。現在はスナック類の消費税込みの価格は100円、アイスクリームは同150円。国内計62カ所のセンターから派遣されるスタッフが、各オフィスの代金回収や商品補充を行う。代金回収率は約98%と高い。季節や設置場所など状況に応じて、製品ラインアップを変えている。顧客満足度を高めるため、他社製品も加えている。

【震災時に補充】

オフィスグリコの営業は当初、苦労が多かった。川端弘太郎オフィスグリコ事業部長は「叱られて外に出されることもあった」と当時を振り返る。それでも大阪を皮切りに始めた事業は、02年東京進出を果たすなどビジネスを広げた。07年には「商品の管理配置やシステム構成など一連の管理手法」としてビジネスモデル特許を取得した。

このビジネスに新しい役割が期待されるようになったのが東日本大震災からだ。3月11日の金曜日に地震が発生。幸運にも首都圏の配送センターに被害が少なかったため週末を挟み、翌週の月曜日から通常通り営業を開始した。帰宅困難者が続出した東京都心部では、これが話題になった。「オフィスグリコがいつも通り補充に来た。食べ物が少ない中ありがたい」との声が多数寄せられた。この経験から防災備蓄として活用できる可能性を見いだした。

【廃棄ロスなし】

防災向けでは数年間備蓄することを想定した食品が多い。一方でオフィスグリコが提示する防災備蓄は、通常食のビスコや各種チョコレートなど幼い頃から慣れ親しんでいる製品ばかり。「平時に食べているものなので、手軽に食べやすい」(川端部長)と通常の備蓄食とオフィスグリコの違いを話す。常に設置場所の販売動向に応じて製品を入れ替えているため、5年間職場などで備蓄したまま廃棄するといった製品ロスも抑えることができる。

平時は仕事の合間のリラックスを、災害時は安心を提供する多様な機能を担っていく。

(大阪・石宮由紀子)

(2017/7/31 05:00)

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