[ 機械 ]

人肌の柔らかさ実現する3Dプリンター、ミッツが開発

(2017/8/3 05:00)

  • ミッツが開発した3Dプリンター

【立川】ミッツ(東京都小金井市、竹谷仁志社長、0422・60・3303)は、人肌のような柔らかさ(ゴム硬度5)までの造形ができる光造形方式3Dプリンター「M3DS―SA5」を業界で初めて開発、販売した。消費税抜きの価格は400万円前後。医療関連用途や柔軟なボディーを持つロボット(ソフトロボット)の間接部分の開発に適しているという。大学や官公庁の研究機関からの関心が高く、3年後の年間販売で2億円を目指す。

樹脂の硬さは、ゴム硬度やゴムショアAという基準で数値化されている。例えば、自動車用のタイヤはゴム硬度65、プラスチック消しゴムはゴム硬度35とされている。樹脂による3Dプリンターは一般的になってきたが、造形にはある程度の硬度が必要になり、人肌に近い柔らかさの造形は課題になっている。

ミッツは独自開発の構造と、3軸制御の技術、樹脂企業との協力により課題をクリアした。

新たに開発した専用の樹脂原料を使い造形する。同原料もミッツが提供する。同社によると、ゴム硬度5までの造形を実現したのは業界初という。

M3DS―SA5には層が形成されるごとに土台が上昇し、逆さま方向に造形されていく吊(つ)り下げ方式を採用した。さらに樹脂を入れた槽が左右に動いて、樹脂のコーティングと形成シートからの分離を繰り返すことで、樹脂消費量を抑制する。空洞のある臓器などの造形も可能だ。

最大造形サイズは150ミリ×100ミリ×170ミリメートルで、造形スピードは毎時20ミリメートル。年間保守・維持費はインクジェット方式の高級機と比べて、25%ほどの約50万円で運用できる。ノズルレス方式を採用しているため交換部品が少ないメリットがある。

ミッツは、30年にわたり試作用のプリント配線板を高精度に加工する装置を開発し、販売を行っている。素材を加工するヘッド部分の制御とソフトウエアなどの技術を生かせる事業として、2014年に3Dプリンター事業に参入した。特に低いゴム硬度による造形技術で差別化を図っている。

(2017/8/3 05:00)

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