[ エレクトロニクス ]

東芝、前期決算“及第点”−監査法人「限定付き適正意見」、上場維持に一歩前進

(2017/8/10 05:00)

■きょう「有報」提出

東芝は10日、延期していた2017年3月期の有価証券報告書(有報)を関東財務局に提出する。監査法人のPwCあらたは「限定付き適正意見」を付ける見通し。これは一部に不適切な事項はあるが、決算全体に与える重要性は低いとの判断。東芝は“及第点”を得る格好だ。一方、内部統制報告書は「不適正意見」となるもよう。東芝は上場廃止回避に向け一歩前進するが、危機は去っていない。(渡辺光太、後藤信之)

  • 内部統制報告書は「不適正意見」となるもよう

【米原発の損失】

東芝は米原子力発電所建設プロジェクトをめぐり、6000億円規模の損失を17年3月期決算に計上する見込み。一方でPwCあらたは、16年3月期に損失の一部を認識していた可能性があるとみていた。

ただ具体的な損失額を確定するまでの監査証拠はなかったとみられる。このため東芝や前任の新日本監査法人は、16年3月期決算の訂正に反発。PwCあらた、東芝の両者で落としどころを探り、最終的に「限定付き適正意見」に着地する方向だ。

ただ、PwCあらたは17年3月期の有報に付随する内部統制報告書について「不適正意見」を示すもよう。

【不適切会計問題】

東芝は15年に発覚した不適切会計問題で東京証券取引所の特設注意市場銘柄に指定された。内部管理体制の審査を受け、改善したと判断されなければ上場廃止になる。有報提出を受け、東証は今後審査を本格化し、秋以降に結論を出す見込み。

17年3月期の内部統制報告書の「不適正意見」が上場廃止に直結することはないが、「東証の審査にはマイナス材料になる」と八田進二青山学院大学教授は指摘する。

【何らかの指摘も】

東芝は10日、17年4―6月期決算を公表し、四半期報告書を提出する予定。四半期報告書には内部統制報告書は付かないが、PwCあらたが、東芝の内部統制の4月以降の状況について、何らかの指摘をする可能性があり注目点となる。

また東芝は17年3月期末に債務超過に陥った。自動的に上場廃止となる2期連続の債務超過を避けるため、半導体メモリー事業を売却する計画。しかし提携相手の米ウエスタンデジタル(WD)が第三者への売却に反対し、売却手続きが滞っている。

(2017/8/10 05:00)

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