- トップ
- 中小・ベンチャーニュース
- 記事詳細
[ 中小・ベンチャー ]
(2017/9/3 05:00)
トーキョー・オタク・モード(TOM、米デラウェア州、小高奈皇光CEO)は、アニメや漫画のキャラクター商品など「オタクグッズ」を商材にしたEコマース(EC、電子商取引)事業で、中国市場の開拓に本腰を入れる。口コミによる訴求効果がきわめて高い中国国内の事情を踏まえ、インターネット上の発言に影響力がある“インフルエンサー”を活用。中国のオタクファンらに向け、正規品しか扱わないTOMの売りなどを発信・拡散する。安心して本物が手に入るというブランドイメージの浸透、定着を狙う。
秋山卓哉執行役員は「中国は潜在的な需要も含めて魅力的な市場。この国ならではの商慣行があったり、政府によるインターネット規制があったりで、一筋縄では行かない分、とても開拓しがいがある」と話す。
現地の商慣行を生かす
中国のビジネス環境に詳しい関係者によると、中国では「口コミがその商品の売れ行きを決めてしまうほど影響力がある。その発信源となるインフルエンサーの言葉はとても重い」という。TOMはこうした中国の商慣行を生かし、口コミのプロとも言えるインフルエンサーを積極的に使う。
中国のミニブログサイト「ウェイボー(微博)」などで、オタクグッズの最新情報などを紹介してもらう。そこで興味を持ったオタクファンらがECサイト「T-mall Global(天猫国際)」に開設したTOMのECショップに集まるようにする。
インフルエンサーについては増員も視野に入れる。現地のパートナーと連携し、オタク文化に詳しく、さらにウェイボーでファン数が多い人材を起用する。秋山執行役員によると、「インフルエンサーはファン数の多寡などを基準に格付けされており、そのランクによって契約金が上下するほど、契約に関する体制が整えられている」。
情報発信・拡散力を補完、強化
中国では政府によるネット規制で、グーグルやフェイスブック、ツイッターなどが使えない。そのため、インフルエンサーで情報発信・拡散力を補完、強化する。TOMもウェイボーのアカウントを取得して情報を発信しており、本格運用以来約1年が経過した現時点で、ファン数が3万6000人を超えた。
秋山氏は「ファン数が2000万人超ある当社のフェイスブックページに比べて、まだまだの水準。偽物のオタクグッズが数多く出回る中で、正規品が手に入ると分かれば、ウェイボーのファン数もECショップへのアクセスも増えるはず」とし、TOMの知名度アップが中国市場開拓のカギになるとの見方だ。
中国のアニメ、漫画、その周辺産業の市場規模については年間8兆円程度とする試算もある。これに対し、矢野経済研究所が2016年12月にまとめた日本のオタク市場の規模は約5000億円。単純比較はできないが、オタクグッズのネット通販分野でも、中国が魅力ある市場であることは間違いない。
(2017/9/3 05:00)