[ ICT ]
(2017/9/3 09:30)
中国のファーウェイは2日、ベルリンで開催中のデジタル家電国際見本市「IFA」でモバイル向け人工知能(AI)チップセット「Kirin970」を発表した。こうしたモバイル向けの「ニューラルプロセッシングユニット(NPU)」は世界初としており、スマートフォンがクラウドと通信せずに画像認識といったAI処理機能を端末側で高速に行えるという。
報道によれば、10月16日のミュンヘンの新製品発表会で披露する次期スマートフォン「Mate10」にKirin970を搭載するとみられる。同社はスマホで世界3位。AI機能や省電力を切り口に上位のサムスン、アップルの追い上げを狙う。一方で、Kirin970をモバイルAIのオープンプラットフォームと位置づけ、ソフトウエアデベロッパーやパートナー企業に活用を促す方針だ。
Kirin970は、CPUの演算処理だけでなく画像処理やデジタル信号処理(DSP)の機能も1チップにまとめてある。最先端の10ナノメートルプロセスで製造され、8コアのCPUと12コアのGPUを内蔵。わずか1平方センチメートルの面積に55億個のトランジスタを搭載した。これは同じく10ナノ製造プロセスでサムスンが受託製造するクアルコムの最新プロセッサー「スナップドラゴン835」と比べて倍程度のトランジスター数となる。
高速だけでなく、低消費電力なのも特徴。スマホのバッテリー寿命が最大で50%延ばせるという。AI機能により、画像認識に加え、リアルタイム翻訳や音声認識によるコマンド入力、拡張現実(AR)などでも威力を発揮するとしている。
ロイターによれば、Kirin970は台湾TSMCの10ナノメートル生産ラインで製造される。
(2017/9/3 09:30)