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[ エレクトロニクス ]
(2017/9/25 05:00)
三菱電機は従来の炭化ケイ素(SiC)半導体に比べ、電力損失を20%以上低減できるSiCパワー半導体を開発した。搭載機器に異常が発生した場合、素子に大電流が流れるが、これを抑える独自のウエハー構造を採用。大電流を制御することで短絡までの時間を延ばしつつ、損失を低減し省エネを実現した。自動車や産業機器、家電などに向けて提案し、2020年度以降の実用化を目指す。
半導体の性能を制御するためにSiCウエハーに導入する不純物原子の量を変えることで、素子に異常が発生した際、電流を抑えるように働く構造にした。
現状のシリコン絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)は、短絡までの時間が一般的に8マイクロ―10マイクロ秒(マイクロは100万分の1)。同じ時間であれば、今回のSiC素子ではオン抵抗を約40%低減できたとしている。
SiCパワー半導体はシリコンに比べて大電流を流せるため、省エネ化や素子の小型化などが見込める。一方で異常が発生した際に短絡までの時間が短く、高速で電流を遮断する特別な回路が必要となっている。
開発したSiCパワー半導体は高速遮断回路が不要で、従来のシリコンと同じ遮断回路を採用できる。高度な回路形成技術がなくても利用できるようになり、SiCの普及が見込める。
(2017/9/25 05:00)