[ ロボット ]

棚卸し自動化へ-自律走行ロボ・通信で技術磨く

(2017/9/27 05:00)

RFIDタグ低価格化で普及加速

倉庫や小売店の棚に保管する商品や材料の品名や数量を確認する棚卸し作業は、人手で一つひとつ確認するため手間や時間がかかる。この棚卸しを通信やロボットの技術で自動化する動きが広がっている。自律走行するロボットでRFID(無線識別)タグを読み取るシステムがその一つ。商品情報を入れるタグが一つ50円以上と高価で普及の阻害要因だが、自動化技術は着実に積み上がっている。(石橋弘彰)

【自動運転応用】

  • 凸版印刷とZMPは、リアルタイムに物品情報を読み取り・送信する棚管理システムを開発した

  • リコーインダストリーは、AGVを使った工場の在庫管理や棚卸し向けシステムの開発を進めている

凸版印刷とZMP(東京都文京区)は自動運転技術を応用し、自律走行ロボットがRFIDを自動で読み取ってリアルタイムに管理するシステムを開発した。ZMPの自動運転制御開発車両プラットフォーム(基盤)技術を応用した。小型のロボットカーやロボット台車にタグの読み取り装置を載せて施設内で稼働する。読み取った情報を物品管理システムに送って管理する。凸版印刷の中川仁克セキュア販促部RFID販促チーム課長は「仕様を磨き上げて来年には提案を始めたい」としている。

【高精度読み取り】

RFルーカス(東京都渋谷区)は、RFIDタグの位置を10センチメートル以下の精度で把握する技術を開発した。同技術を生かし、棚の箱一つひとつに貼ったタグの情報を読み取って棚卸しなどに利用できる。上谷一社長は「一般的なタグ読み取り技術ではメートル単位でしか位置を特定できない。棚ごとに何が入っているかの確認に人手が要る」と説明する。

RFルーカスの読み取り技術は、タグ一つを1秒間に100回以上読み取る。例えば、ロボットに読み取り装置を搭載して移動すると、1回ずつの電波位相情報が変化する。その変化からタグとの距離を割り出して位置を特定する。今後、自律走行ロボットと組み合わせたシステムを倉庫や図書館、メーカーの商品管理などに提案していく。飛行ロボット(ドローン)がタグを読み取るシステムも検討しているという。

【狭い場所に対応】

自動搬送車(AGV)の利点を生かしたシステムを検討するのがリコーグループだ。生産会社のリコーインダストリー(神奈川県厚木市)が開発したAGVにRFIDタグの読み取り装置を搭載し、工場の在庫管理や棚卸しに活用できるよう、技術開発を進めている。販売会社のリコージャパン(東京都港区)産業プロダクツソリューション推進グループの小澤和彦氏は「開発したAGVは小回りが利く点や、走行ルートを市販テープの貼り替えで簡単にできる点に特徴がある。狭い場所でも読み取りができるなど利点を生かしたシステムを作りたい」と話す。

RFIDと自律走行ロボットを活用したシステムは、東芝テックや富士物流(同港区)など数多くの企業が手がけている。物流業界の関係者によると、タグの価格が1円以下になれば、商品の単品管理にもタグが利用でき、自動棚卸しシステムが一気に普及すると見られている。

(2017/9/27 05:00)

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