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[ 科学技術・大学 ]
(2017/9/28 05:00)
京都大学大学院工学研究科の横川隆司准教授と磯崎直人特定研究員らは、事前に分子の輸送方向を枝分かれ設定できるナノ輸送システムを開発した。細胞の運動を発生させるモーターたんぱく質の「キネシン」と細胞骨格で管状の「微小管」を輸送向け分子機械として生体外で再現。微小管の特性により運動方向を80%以上の精度で制御できた。繰り返し分離し精度を高められる。たんぱく質の分析やがんマーカーの検出などに応用する。
微小管は生体外でランダムな運動をするため、分子輸送に利用するのが従来難しかった。流路や電場などでは一方向にしか運動を制御できなかった。
研究グループは、微小管の電荷と硬さを改変することで、運動方向の制御に成功。複数方向への輸送を実現した。微小管に対象の分子を結合し、必要な場所に輸送できる。
研究グループは、微小管の構成材料の化合物ヌクレオチドの種類の変更により、硬さが異なる微小管を作製。さらに負の電荷を持つデオキシリボ核酸(DNA)を軟らかい微小管に結合した。
これらを組み合わせて、異なる運動軌跡を取ることを確認した。さらに微小流体デバイス内で硬い微小管と、軟らかく電荷が大きい微小管を運動させ、分離に成功した。
成果は28日の米科学誌サイエンス・ロボティクスに掲載された。
(2017/9/28 05:00)